皆様、こんにちは。

「これは大事だから、おぼえなさい」と生徒に話すと、ほとんどの生徒は「はい」と返事をします。
そして数日後。
「先日の件、おぼえましたか?」と尋ねると、バツが悪そうな顔をして「あ、いや、まだです」。
 
まず「はい」と返事した以上、おぼえることは私との「約束」であることを自覚してほしいですね。
生徒さんの「はい」は、あまりにも軽いんです。
少なくとも、おぼえるための努力と工夫は絶対にしないといけません。
だって「はい」って返事をしたじゃないですか。
 
さてそこで「おぼえるための工夫」です。
どうすれば、ものごとをおぼえられると思いますか?

今現在、自分自身が完全におぼえていて、絶対に忘れないものって、なんですか?

名前、住所、「あいうえお」「かきくけこ」ですよね。
また、好きな歌手が歌う歌の歌詞、校歌、九九等々も、きっとそれに該当するでしょう。

さて皆さんは、それらをどうやっておぼえましたか?

紙に書いておぼえようとしましたか?

通常は「口ずさんで」おぼえるものですよね。

つまり「声を出して繰り返す」ことが、おぼえるための最重要かつ必須のことなのです。



 
前々回の答案御紹介と講評です。

問題を再掲します。
  


以下のニュースを読み、190字以上200字以内で問題点を指摘し、解決策を述べよ。なお解答に際しては、以下の点に注意せよ。

※ 190字以上200字以内の字数制限厳守。
※ 段落分けはしない。「最初に1マス空ける」もしない。
※ テーマから1~2段階抽象化して考える。
 今回の場合、チャーリーくんの件にとどまらず、安楽死について述べる。
 ただしいきなり抽象化はせず、必ずニュースの内容に触れること。
※ 日本の国益を守るにはどうするか、を考える。
 今回の場合、日本の安楽死に関する現状等をふまえて日本がどうすべきか述べる。

深刻な難病で生命維持装置をつけている英国のチャーリー・ガード君(生後11カ月)の治療を続けるかどうかに世界の注目が集まっている。回復見込みがないとして地元の病院は安楽死を提案したが、両親は拒否し、米国で治療を継続することを模索。2017年7月3日と4日、トランプ米大統領やバチカンが両親への支援を表明したことで、さらに関心が高まっている。
英メディアなどによると、チャーリー君はロンドン在住のクリス・ガードさん(32)、コニー・イエーツさん(31)夫妻の長男として2016年8月に誕生。まもなく先天性の「ミトコンドリアDNA枯渇症候群」と診断された。細胞が正常に機能しないため内臓や筋肉の形成が難しく、脳にも深刻な損傷を負っているという。
2016年10月から治療を続けている病院は「やるべき治療は全てやった」と強調し、両親に生命維持装置を外して安楽死を受け入れるように提案した。病院は裁判所に安楽死の許可を申請し、欧州人権裁判所は2017年6月、治療継続は「さらなる苦しみを与える」として安楽死を認める決定をした。両親がチャーリー君を国外に渡航させることも禁じた。
これに対し、両親は「命が尽きるまであきらめないのが私たちができる唯一の務め」と安楽死を拒否。国外も含めた受け入れ先を探し、米国の医師を見つけた。医師は、治療としてチャーリー君の体内で生成できない物質を経口投与すると約束したという。両親は治療費や渡航費を募るため、ネットサイトを設置し、130万ポンド(1億9,000万円)以上の寄付を集めた。
トランプ氏は2017年7月3日、「もし私たちが助けることができるなら喜んでそうしよう」とツイート。ホワイトハウスは政府職員が両親と連絡を取っていると明らかにした。
さらに、フランシスコ・ローマ法王が、両親が最期まで子どもに寄り添い治療にあたることを認めるべきだと主張。バチカンが運営するローマの小児病院は2017年7月4日、受け入れを表明した。しかし、ジョンソン英外相は裁判所の渡航禁止命令を理由に小児病院への転院は「できない」としており、当面は地元の病院での治療が続く見通しだ。

 
《 毎日新聞 2017年7月10日(月) 17時53分 配信》


[1] ゆかい さん
同じ宗教圏の欧米でも安楽死の見解は異なっているが、各国の姿勢は明確だ。その一方で日本は安楽死を認めておらず、法による明文化もなされていない。つまり、安楽死に関する日本の立ち位置が明確で無いことこそが問題なのであり、それは対外イメージを悪化し、公益を損なう。この問題の解決のためには、早急に安楽死に関する法整備を行うのだ。そのために、法や安楽死に関する有識者によるプロジェクトチームを、始動させるのだ。
(200字)

講評

      ・導入もうまく、解決策も的確であり、非常に高く評価されます。
      ◎ 評価は85%です。Excellent❢

[2] Gさん
チャーリー君の親が延命治療を望んでいるにもかかわらず、国が国外渡航を禁止して、他国への転院を妨げているのが問題だ。チャーリー君を安楽死させるか否かの権利は、彼にはまだ意志がないため、両親が持っているはずだ。したがって、国や裁判所が関与することはできない。チャーリー君本人の個人の意思決定権がないのならば、家族の意志決定権が次に尊重されるべきだ。日本でも法律としてこうした権利を明文化するべきだ。
(197字)

講評

      ・ 一般化までが長すぎて「日本が明文化するためには、実際にどうすればよいか」というところまで書ききれていません。非常に惜しい答案です。
      ・さらに、日本の公益の損失について書かれておらず、いきなり「日本でも」となっているところが残念であり、やはり非常に惜しい答案です。
      ◎ 評価は60%です。

[3] Fさん
チャーリーくんの安楽死は受け入れるべきだ。もう治ることはないのにチャーリーくんが限界をむかえるまで治療を続けるのは両親の望みであって、チャーリーくんを苦しめるだけである。安楽死は一概に正しいとは言えない。その時の患者の状態によって変わる。患者本人が生きていて苦しい状態でなく、親族が延命治療を望むのならば安楽死は良いとはいえない。しかし、本人に意識があり苦しみを感じる状態では安楽死を選ぶべきだ。‬
(199字)

講評

      ・「日本がどうすべきかを書いて下さい」という設問条件に違反しており、一般論に終始しています。大変もったいないですが、これでは評価できません。
      ◎ 評価は0%です。


[4] Aさん
法の番人である裁判所の判断が軽視されている点に問題がある。医療的な観点から安楽死が最善の選択であると判断したため、病院側は裁判所の許可を得るという正常な手続きを踏んでいるのであり、そうしたものを無視することは許されるべきではない。ただ、安楽死は賛否がわかれるデリケートで重要な課題だ。法によって禁じられている日本においても、法で定められていることを理由に思考停止させずに、様々な選択肢を検討すべきだ。
(200字)

講評

      ・裁判所、というところに着目した点が非常に面白く、高く評価されます。
      ・ただ、日本が思考停止していることが前提のように書かれていますが、その根拠がどこにあるのか、今ひとつ「イキナリ」感が拭えません。
      ◎ 評価は60%です。

[5] Kさん
チャーリー君が渡航して治療を受けることを禁止されていることに疑問を感じる。助かる見込みは少ないかもしれないが、息子に少しでも長く行きて欲しいという両親の気持ちを尊重しても良いのではないか。病気にかかり安楽死を選択肢に入れなければならない場合、患者には自分で意思決定をする能力がないことが多い。その場合は家族が選択することになるが、患者と家族、両者のことを考えて柔軟な対応ができるようにするべきだ。
(200字)

講評

      ・第三文以降が「日本がどうすべきか」という内容なのでしょうが、なかなか苦しいですね。ハッキリと「日本は~」と書かねばなりません。
      ・「柔軟な対応」という言葉は使い勝手が良いので、つい多用してしまうのです。しかし、曖昧な表現ですので、小論文での使用は、あまり好ましくありません。
      ◎ 評価は40%です。

[6] Nさん
チャーリー君が国外へ渡航することを禁じたという点に問題がある。なぜならば、安楽死は本人または家族の意志に基づいて決定されるべきだからだ。現在の日本では安楽死が合法化されていない。しかし、他国での合法化が増えるにつれて、日本人の中で安楽死を望む人が増えている。現在のような自由が尊重される世の中において、安楽死を望む本人または家族の意志を最優先にすることを前提とした法律を整備すべきである。
(194字)

講評

      ・第三文がイキナリ過ぎてビックリします。接続詞や代名詞のような「つなぎ言葉」を必ず入れましょう。
      ・なにが「問題」なのかが、ハッキリと書かれていないので、いったい何が問題なのか、非常に分かりづらい。
      ・法律の整備、は好ましい。
      ◎ 評価は60%です。