多くの受験生の皆さんにとって、最も関心が高いのは、共通テストではないでしょうか。今年の1月に1回目が行われたばかりで、情報も少なく、どのように勉強していけばよいのか不安を覚えている人も多いと思います。
 そこで、センター試験から何が変わったのか? 何が求められているのか? について、初年度の今年の問題や、2017・2018年に行われた試行調査の問題を踏まえて、具体的にお話したいと思います。

 まず、受験生の皆さんに声を大にして言いたいのは、「センター試験から共通テストへ全てがガラッと変わったわけではない。センター試験を踏襲している部分もかなりある」ということです。
 共通テストは、新学習指導要領が掲げる「思考力・判断力・表現力」を問うべく、センター試験に代わって始められることになりました。当初は国語と数学で記述式問題を出題する予定でしたが、採点の方法など批判が相次ぎ、見送りとなったことはご存知かと思います。記述式問題以外にも、2017・2018年に行われた試行調査では、文章や資料をもとに考えさせる問題や、設問どうしの解答が連動している問題などが、従来のセンター試験にはない出題が見られ、注目されました。
 しかし、多分にセンター試験との違いが強調されすぎたきらいがあったかと思います。実際は、センター試験と変わらない部分も大きかったのです。

 共通テストの問題は、大きく次の2種類に分けられます。
1-従来型:センター試験を踏襲した問題(基礎力重視)
2-新傾向型:文章や資料を用いた問題(思考力重視)

 従来のセンター試験は、ミニマムの学力を問うという点で、よく出来ていました。そこに、新学習指導要領が謳う「思考力」などを問う問題を加えたいというのが、共通テストの趣旨です。ですから、全てが新しくなったわけではありません。基本事項を問うセンター型の問題も多く含まれています。
 概観的には、全科目を通じて、試行調査では従来型4:新傾向型6といった割合だったでしょうか。どうしても新しいものに目が行きがちですが、従来型の問題も4割近くはあったのです。
 それが、今年の1回目の共通テストでは、割合が逆転して、従来型6:新傾向型4くらいになっていました。文系の科目では7割くらいまで行っていたものもあります。初年度ゆえに冒険はできなかったのかもしれませんが、言うほどの大きな変化はなかったのです。

 ですので、受験生の皆さんにお伝えすべきは、「従来のセンター試験に向けた勉強のしかたは、共通テストでも十分に有効である」ということです。センター試験の過去問も有用ですので、演習を積み重ねてください。そして、基礎力をじっくりと培いましょう。それは、共通テストだけでなく、国公立大2次や私大の入試でも必ず生きてきます。

 今回は共通テスト全般についてお話しましたので、次回以降は科目ごとに具体的に見ていきたいと思います。