前回・前々回と、共通テスト初年度における現代文(評論・小説)の問題を見てきました。その特徴を一言で言い表すと、「基本に忠実」となるでしょう。基礎力を重視するというセンター試験の姿勢を、共通テストは確実に受け継いでいるのです。
 今回見る古典(古文・漢文)についても、まったく同じことが言えます。古典と基本は文法と語彙です。共通テストでもそこが問われました。
 まずは古文から。次の問題をご覧ください。

 傍線部ウ「里に出てなば」の解釈として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

① 自邸に戻ったときには
② 旧都に引っ越した日には
③ 山里に隠棲するつもりなので
④ 妻の実家から立ち去るので
⑤ 故郷に帰るとすぐに

 まず、「里」に「自宅・実家」の意味があることは必修事項です。この時点で①「自邸」と④「実家」に絞られます(②「旧都」・⑤「故郷」の意味を表わすのは「ふるさと」です)。次に、文末の「なば」は、完了「ぬ」の未然形と接続助詞「ば」に品詞分解できます。これも文法で必修事項でしょう。仮定条件であることに留意してください。④のように「ので」と確定条件では解釈できません。「~してしまうならば」を「~ときには」と意訳したと捉えれば、①が正解と判定できます。
 文法と語彙の基本がしっかりと問われていますね。
 漢文も同じです。次の問題をご覧ください。

 傍線部B「惟意所欲適」の返り点の付け方と書き下し文との組み合わせとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。(注・返り点は都合により割愛)

① 惟だ意の欲して適ふ所にして
② 惟だ意ふ所に適はんと欲して
③ 惟だ欲する所を意ひ適きて
④ 惟だ意の適かんと欲する所にして
⑤ 惟だ欲して適く所を意ひて

 傍線部で注目すべきは「所」「欲」という二つの返読文字です。重なっていますから、適→欲→所と下から一文字ずつ返っていきます。よって、「適(ゆ)かんと欲する所」と書き下している④が正解です。センター漢文では、傍線部中に含まれる句法や再読文字・返読文字に着目して選択肢を絞り込むというのが鉄則でしたが、共通テストもそれを引き継いでいました。
 これらの問題から言えるのは、読解力の土台にある文法と語彙を、共通テストは変わらず重視しているということです。新学習指導要領が掲げる「思考力・判断力・表現力」というフレーズが独り歩きしている感がありますが、それらを支えているのは基礎力に他なりません。
 ですから、古典(古文・漢文)に関しては、文法と語彙を徹底的にマスターすることが第一歩です。『みんなの古文単語ゴロゴ』『新・ゴロゴ漢文』を何周もして、完全に自分のものとしてください。そのうえで、センターの過去問演習を積み重ねましょう。
 今回まではセンターを踏襲した従来型の問題を見てきましたので、次回以降は新傾向の問題を分析し、対策を講じたいと思います。