年度から始まった共通テストについて、実際の問題を取り上げながら、特徴を説明してきました。今回は、まとめとして、共通テストに向けた勉強法を整理したいと思います。

1-センターの過去問は共通テスト対策にも有効
 共通テストは、新しい問題が強調されていますが、実際は、センター試験を踏襲した従来型の問題が6割近くを占めています。センター試験は、どの科目も学力のミニマムを測る問題として良くできていますので、基礎力強化のため十分に活用してください。

2-〈基本〉を徹底する
 共通テストがセンター試験を踏襲しているということは、基礎力重視の姿勢は変わらない、ということです。古文ならば単語と文法、漢文ならば句法と漢字力、地歴・公民の科目でも覚えるべきものはしっかり覚え込む必要があります(なお、求められる知識量はセンター試験からだいぶ減っています)。「思考力・判断力」といった言葉に踊らされず、まずは〈基本〉を徹底してください。

3-〈読解力〉をつける
 国語に限らず、地歴・公民の科目でも、資料文の読みが求められます。また、現代文(評論・小説)も本文の読みをベースとしたものです。まずは国語の学習を通じて〈読解力〉をつけることが、共通テスト攻略のカギを握っています。具体的には、センターの過去問を活用して、本文の内容を100~200字で要約するトレーニングを積み重ねるのが効果的です。

4-共通点・相違点を押さえながら読む
 共通テスト国語で新たに登場したのが、本文に関連する文章が与えられた問題です。本文と「重ね合わせる」ように読むことが求められますが、その際には共通点と相違点が問われるポイントになります。当然、本文の内容に関わる文章が用意されますが、完全に一致するわけではありません(それでは問題になりません)。どの点が同じでどの点が異なるのかを意識しながら読むようにしましょう。

5-「問いに対して答える」という意識をもつ
 日本史や政経の問題で、「内容的には正しいけれども、問いに対する答えになっていないので×」という選択肢を見ました。同様のものは現代文などでも見られます。選択肢に書かれた内容は本文の記述に合致している、しかし、問われたことに対する答えになっている選択肢は1つしかない、という場合です。こういう問題はドツボにはまって正解が見えなくなります。「問いに対して答える」という意識をもってください。なあんだ、そういうことかと簡単に解ける問題がいくつもあるはずです。

 共通テストはまだ1回目が行われたばかりであり、今後どのようになっていくかは予測がつきません。しかし、共通テストはこれからも〈基礎力〉を問い続ける、ということは断言できます。それは、共通テストは大学入学を目指す受験生に貸す一次試験だからです。もちろん新傾向の問題への対応も大切ですが、まずは〈基本〉を徹底するという姿勢を貫いてください。
 次回からは国語の学習法についてお話していきたいと思います。