前回まで、10回にわたって、今年(2020)から始まった共通テストがセンター試験からどう変わったのか(変わらなかったのか)についてお話してきました。今回からは、ではどのように問題を解けば良いのか、実戦的な内容に入っていきたいと思います。
 文系科目において、共通テストの中心を占めるのが正誤問題です。これはセンター試験から変わりません。選択肢文の内容をしっかりと読み取ったうえで正誤を判断することが求められるので、苦手とする受験生も多いでしょう。正誤問題の正答率を高めることが、共通テスト攻略のカギを握っています。
 では、正誤問題を解く際に最も重要なことは何か? それは、「問題文を正確に読み取り、問いに対する答えになっている選択肢を選ぶ」ということです。
 なんだ当たり前ではないか、そう思うかもしれません。しかし、このことに対する意識の低さが、ケアレスミスを誘発し、「2択まで絞れたけれども最後で間違える」という状況を生じさせているのです。
 論より証拠、たとえば、次のような日本史の問題を考えてみましょう。

 8世紀に天皇が行った出来事の説明として最も適当なものを一つ選べ。
① 天智天皇は中大兄皇子から即位して大津宮に遷都した。
② 壬申の乱に勝利した大海人皇子は天武天皇として即位した。
③ 持統天皇は日本初の本格的都城である藤原京に遷都した。
④ 聖武天皇は鎮護国家の仏教に頼り大仏造立を発願した。

 まず、問われている内容をしっかりと押さえることです。8世紀の天皇の出来事が問われていますね。そこさえ踏み外さなければ、日本史選択者にとっては基本問題です。8世紀の天皇は④聖武天皇しかいません。①天智天皇、②天武天皇、③持統天皇はみな7世紀の天皇です。よって正解は④と確定できます。
 いまいちど、なんだ当たり前ではないかと思ったかもしれません。しかし、実際に解かせてみると、問題文を適当に読み流して選択肢ばかり見る受験生がいかに多いことか。そして、すべて内容的には正しいぞ、これでは選べない、、、と迷路に入り込むのです。
 ①も②も③も内容的には正しいです。しかし、問われている内容(8世紀の天皇の出来事)の答えになっていません。慌てる受験生は、ここで「鎮護国家」が違うのではないかなどと、ないキズを探そうとして、さらに迷路から抜けられなくなります。
 「問いに対する答えになっている選択肢を選ぶ」というのは、知識系の地歴・公民の科目だけではなく、読解系の国語・英語でも同様です。たとえば、現代文の問題で、選択肢の内容はすべて本文に書かれているけれども、問いに対する答えになっているのは1つだけ、ということはよくあります。こうした問題は、本文と同じくらい力を入れて設問文を読めば、確実に正解できます。
 まずは、「問題文を正確に読み取り、問いに対する答えになっている選択肢を選ぶ」という意識をもってください。
 次回も正誤問題の解き方について解説します。