第15回 共通テスト攻略法・⑤誤りの選択肢のパターン
何はともあれ、共通テスト攻略のカギを握るのは正誤問題です。この連載では、正誤問題の解き方について解説していますが、今回は、誤りの選択肢の見極め方として、誤りの選択肢はこのように作られているので注意してほしい、という話をしたいと思います。
問題を作成する立場からすると、誤りの選択肢を作るというのはかなり折れる仕事です。わざと誤った内容を書かなければならない。これは結構ストレスのかかるものなのです。しかも、心理的負担というだけではありません。「わざと」すぎると、ミエミエの選択肢になってしまいます。逆に、微妙なキズを入れるだけだと、正しい選択肢との見分けがつかなくなる怖れがあります。「適当なさじ加減」というのは、本当に難しいのです。
しかし、作問の経験を積んでいくと、誤りの選択肢を作るスキルもしだいに高まり、こういう形で誤りにすれば良いというパターンも身についていきます。それは、同じ日本語を用いて誤りの選択肢を作っている以上、作問者にある程度共通するものです。ですので、そうしたパターンを知っていると、誤りの選択肢を見極めやすくなります。
そこで、代表的な誤りの選択肢のパターンを紹介しましょう。
①事項の説明の部分が誤りであるパターン
例)左大臣の菅原道真は摂政の藤原時平によって大宰権帥に左遷された。
これは、知識系の地歴・公民の各科目でよく見られるパターンです。単語や人名にばかり目が行って、その説明の部分を見落とすと、誤りのワナにはまります。例文では、左大臣・摂政という官職が誤りで、正しくは菅原道真が右大臣、藤原時平が左大臣です。特に、事項を前から修飾している部分に注意しましょう。
②2つの事項の順序や因果関係が逆になっているパターン
例1)豊臣秀吉は、バテレン追放令を発し、これに違反したとして島津氏を討伐した。
例2)社会保障費の膨張によって、少子高齢化が進行した。
2つの事項の結びつけ方が誤っているというパターンです。これも、単語にばかり目が行っていると見落とすので注意してください。例1は、豊臣秀吉は島津氏の討伐後にバテレン追放令を発しているので順序が誤り。例2は、少子高齢化が原因で社会保障費の膨張が結果ですから因果関係が誤りです。読解系の国語の問題では、「によって」「ことで」などの表現が出てきたら、因果関係が正しいかどうか確認してください。
③「すべて」「唯一の」などの修飾語が用いられているパターン
例)市町村合併が住民投票によって白紙に戻された例はない。
物事に例外のないものなどありません。「すべての~が」など、選択肢文に例外を認めない表現があったら疑ってかかりましょう。例文では、住民投票で市町村合併が頓挫した例はいくらでもあります。逆に、「唯一の」「~だけ」などの表現がある場合も、他にないのかと考えてください。
以上のパターンは絶対ではありませんが、誤りの選択肢を見抜くのに重宝しますので、ぜひ参考にしてください。
次回からは、現代文の問題を中心に、正誤問題の解き方を解説していきましょう。