今回からは、現代文に絞って、共通テスト攻略のカギを握る正誤問題の解き方について解説していきたいと思います。
 現代文の問題では、本文の読みが前提として問題が作られています。ですから、解答の根拠は、当然、本文にあります。「本文から解答に関わる要素を見つけ出し、選択肢の正誤を判定しなさい」と、先生からも言われていることでしょう。
 では、どのようにして解答の根拠を見つけ出せば良いのでしょうか? そもそも、解答の根拠はどこにあるのでしょうか? 実は、多くの受験生にとって盲点になっている箇所があります。それは、傍線部そのものです。
 受験生は、解答の根拠を見つけろと言うと、傍線部の前後を一生懸命読みます。共通テスト現代文では、センター試験以来、本文全体の読みというよりも、部分的な読解が求められますから、傍線部のある段落にまず解答の根拠は見つけられます。ですが、傍線部の前後にばかり目が行って、傍線部そのものの読みをおろそかにしている受験生の何と多いことでしょう。傍線部の文言そのものが解答の根拠となっている問題が、とりわけ小説では見られるのです。
たとえば、傍線部に「彼のぶっきらぼうな言いぶりに、彼女は寂しげな表情を浮かべた」とあったとします。そして、問題では〈彼女はなぜ「寂しげな表情を浮かべた」のか〉と問われていたとしましょう。そのとき、「寂しげな表情を浮かべた」理由は、傍線部に書かれている「彼のぶっきらぼうな言いぶり」にあります。
 これを踏まえて選択肢を見ると、「彼のぶっきらぼうな言いぶり」という要素が含まれているのは5つのうち2つ、あるいは1つだけで正解がズバリ決まってしまう。実は、そのような仕掛けになっている問題が多いのです。
 こう言われると、「なんだ、簡単ではないか」と思うかもしれません。しかし、この手の問題は、多くの受験生が苦手とするところです。たいていの受験生は、傍線部を分析する前に、傍線部の周辺から根拠を探そうとします。すると、「彼」の言った言葉が書かれている。それを根拠とみなして解答しようとするのです。
 しかし、「彼女」が「寂しげな表情を浮かべた」理由は、「彼」が言った内容にではなく、「ぶっきらぼうな言いぶり」にあります。こうして、「言いぶり」に着目すれば簡単に選べるものを、迷路に入り込むことになるのです。「灯台下暗し」とはまさにこういうことを言います。
 「解答の根拠は傍線部の中にあるので、まずは傍線部の内容を押さえる」というのは、第11回の記事で正誤問題の解き方としていの一番に述べた、「問題文を正確に読み取り、問いに対する答えになっている選択肢を選ぶ」ということに通じます。問題文を読む、傍線部を読む。すべてはここから始まるという意識を強くもってください。
 次回は引き続き、では傍線部のどこに注目すれば良いかについて解説します。

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