前回は、古文の問題の解き方として、「傍線部内の文法事項と単語に焦点を絞る」ということをお話しました。今回は漢文の問題の解き方ですが、句法や返読文字・再読文字がこれに該当します。傍線部に含まれる句法や語に着目してください。特に、「欲(~せんとほっす)」「勿(~するなかれ)」などの返読文字が解答の決め手になることがありますので、注意しましょう。
 さて、漢文ではここに漢文特有の解き方が加わります。それは、〈対句〉に着目するというものです。〈対句〉は、意味的・構造的に対応する2つの句を並べる漢文の修辞法(レトリック)ですが、構造的に対応しているということは、両句で返り点が同じ位置に振られるため、返り点の付け方と書き下し文の組合せを問う問題で威力を発揮します。また、意味的にも同義が対義なので、解釈問題で大きなヒントとなります。
 次に見るセンターの過去問は、『新・ゴロゴ漢文』でも取り上げましたが、〈対句〉で解くお手本のような問題なので、ここでも紹介します。

〈問題〉
夫忠臣与孝子、不為昭昭信節、不為冥冥堕行。
(注)冥冥―暗くて見えないこと。
問 「不為昭昭信節」の意味として最も適当なものを一つ選べ。
①賢明であるから、無理に礼節を押しつけようとはしない。
②あからさまに多くの人々の前で、礼節について議論することはしない。
③人が見ているからといって、わざと礼節を誇張して行うことはしない。
④公明正大なやり方だけが、礼節を正しく行うことだと主張しているわけではない。
⑤聡明な人に対してだけ、礼節の教えを説いているわけではない。
 
問われている「不為昭昭信節」の句と、続く「不為冥冥堕行」の句が〈対句〉であるということは、見てすぐに分かりますね。ここでは「昭昭」の語に注目しましょう。対になる「冥冥」が「暗くて見えないこと」と(注)にありますから、「昭昭」は反対の「明るくて見えること」であろうと類推できます。そう考えて選択肢を見れば、「人が見ている」とある③以外に正解は考えられません。

 第11回の記事から10回にわたって、共通テスト攻略のカギを握る正誤問題の解き方について解説してきました。繰り返しますが、大切なのは、選択肢を見る前に問題文をていねいに読む・傍線部をしっかり分析するということです。それは、ケアレスミスをなくすうえで欠かせません。勉強して積み上げてきたことを、確実に得点にしてください。
 それとともに、共通テストは時間との戦いであることも肝に銘じてください。限られた時間の中で解く、その際に、記事で紹介した解法が役に立つはずです。
 次回からは、直前期の過ごし方についてお話していきたいと思います。