前回から、入試直前のすごし方について、過去問演習の進め方の話をしています。「制限時間を守って解く」というのは、当たり前ですが大事なことなので、誘惑物を遠ざけるなど環境を整えてください。

 さて、今回は過去問を解き終わった後のお話をしましょう。赤本などの解答を見ながらマル付けをする。それは当然すると思いますが、そこで満足をしていてはいけません。自分で配点を考えて、採点をしてほしいのです。

 問題集やドリルでも、解き終わった後に正答率を出す人は多いと思います。単元が決まっていたり、設問の形式がそろっていたりするならば、それでかまわないでしょう。しかし、入試問題は、さまざまなジャンル・さまざまな設問形式から構成されており、配点は同じではありません。

 たとえば、選択式よりも記述式の方が配点は大きいですし、記述式でも字数が長いほど配点は大きくなります。「合格点」に達しているかを判断するには、正答率ではなく、得点を出す必要があるのです。

 配点は発表されていないことがほとんどですから、まずは自分で配点を考えましょう。それも大事な勉強です。模試の配点などを参考にしてください。その際に留意してほしいのは、記述問題は受験生が思っている以上に配点が大きいということです。それは、記述問題の攻略なくして合格は勝ち取れないことを意味します。自分で配点を考えることで、そのことを自覚してください。

 配点を考えたら、次に採点ですが、難しいのは記述問題の採点です。まずは、赤本などの解答例をもとに、加点要素を数え上げましょう。そして、それに沿って自分の答案を評価するのです。その作業じたいが記述対策になります。

 自分で評価した後は、信頼する先生に見てもらうことも肝心です。自分ではマルのように思えても、第三者の目から客観的に見ると評価されないということも多々あります。また、意味が通じない・よく分からないといった指摘を受けることもあるでしょう。このように誰かに答案を読んでもらうことは、読解力の向上につながります。

 なお、選択問題では出版社によって解答が分かれていることがあります。解説を読んでも納得がいかない場合は、他社の解答を調べてみてください。最終的には信頼する先生の判断を仰ぐのが良いでしょう。

 前回の記事でも書きましたが、求められるのは「満点」ではなく「合格点」です。「合格点」を取るためには採点が必要であると理解してください。

 次回は採点が終わった後の復習のしかたについてお話します。