前回は、入試直前期・期間中の計画の立て方について、前の日の夜に一日を振り返ったうえで、明日やるべきことを細かく具体的に決めるべきであることを述べました。本番までの限られた時間を有効に活用することをつねに意識してください。
 さて、直前になると受験生から「○○もやった方がよいですか」という質問を受けることが多くなります。新しい参考書や問題集に着手したいという相談です。こうした質問にたいする答えは決まっています。「これまで使ってきたものを完成させることを優先しなさい。それで時間があれば新しいものをやってもいいよ」です。
 前回も述べたとおり、直前期は、すべての範囲が終わっていることを前提に、苦手な分野や固めきれていない単元を補強していくことが中心になります。ですから、まずは自分に足りないことは何かを把握することが先決です。当然、これまで使ってきた参考書やノート・プリントをひととおり見返す必要があります。見直しには十分に時間を取ってかまいません。それ自体が勉強になります。
 それで、課題が見定められたら、具体的にやるべきことは、これまで使ってきた参考書やノート・プリントの徹底的な復習でしょう。それなしに新しいものに手をつけても、ほとんど効果はありません。
 直前期に新しい参考書などに手を出すのは、リスクが伴います。まず、それが自分に合ったレベル・内容であるのかが分かりません。また、内容の確認のためこれまで使ってきた参考書を見返そうとしても、単元などが対応していなければ手間がかかります。直前期に新しいものを始めても、あまり効果はないのです。
 それでも、タイトルに「○○時間完成」「短期集中」などとあると魅力に感じます。しかし、直前期に特化した問題集や参考書というのは、全ての範囲が仕上がっているということを前提としています。それだけやれば得点力がアップするものでもないのです。
 あるいは、購入したのに手をつけなかった参考書などがあると、もったいないようにも思います。しかし、それまで手をつけていないというのには、何かしら理由があるものです。やはり効果はあまり期待できません。
 以上のとおり、これまで使ってきたものを完璧にするということを優先してください。それこそが合格への確実な道です。また、問題集などをやりたいというときは、信頼している先生に必ず相談しましょう。自分に合ったものを教えてくれるはずです。
 新しいものをやりたいという気持ちは分かります。不安もあるでしょう。そういうときこそ、これまで積み重ねてきたことに自信をもってください。
 次回も入試期間中・直前期のすごし方についてお話します。