入試の日程も進み、結果にやきもきしている受験生も多いと思います。あるいは、合格が決まり、入学後の生活に心躍らせている人もいるかもしれません。現状がどうであれ、すべての受験生にお願いしたいことがあります。それは、入試が終わった後も、入学後のことを見据えて、勉強を続けてほしいということです。
 人生というのは、目的と手段が連鎖し、入れ替わりながら、上のステージへと進んでいきます。皆さんが受験勉強をしてきたのは、大学に入学するという目的のための手段でした。では、大学入学という目的が達成されたらそれで終わりかと言えば、そうではありません。なぜ大学に入学したのか? それは、新しいことを学ぶためです。では、なぜ新しいことを学ぶのか? 社会人となり、自ら人生を切り開くためです。このように、目的は、実現した瞬間から新しい目的のための手段に転じます。
 皆さんも、合格したらすべてから解放されて、何でも思うがままにできるとは考えていないでしょう。大学入学というスタート地点に着いただけのことです。そして、順調にスタートを切るには、準備をしておかなければなりません。勉強を止めてよい理由などどこにもないのです。
 まず、大学での勉強に必要なものの基礎は、受験勉強で築かれています。特に、理系の人は数学、文系の人は国語(現代文)の復習に力を入れてください。理系の学問は、数学なしには何も始まりません。また、文系の学問では、大量の文献を読むことが求められますので、読解のトレーニングを続ける必要があるでしょう。文章は、ブランクがあると途端に読めなくなると思います。
 それとともに、大学での勉強は、受験勉強のように決められたゴールに向かって与えられたものをこなすというのとは違って、自分で学びたいことを発見していくことが求められます。これまで読む時間が取れなかっただろう、専門に関する新書などにチャレンジするというのも良いと思います。
 何をすれば良いのか分からないという人には、入学する大学について調べてみてください。大学のHPや、ウィキペディアを閲覧しているだけでも、さまざまな発見があると思います。そこから掘り下げて知りたいことを自分なりに見つけてください。
 今回で、今年度の受験生向けの記事は終わりです。結果の如何にかかわらず、皆さんが新しいステージで有意義な時間をすごされることをお祈りしています。
 次回からは、主に新高3生に向けて、受験勉強を始めるにあたって肝に銘じてほしいことをお話していきます。