第33回 2022年度共通テスト分析・③国語(評論)2
今回も、前回から引き続き、今年(2022年度)の共通テスト国語(評論)で出題された、新傾向型の問題を見ていきます。前回見た複数のテクストの読み取りは、今後、国語(評論)の主流になると考えられますので、共通点と相違点を捉えるトレーニングを積み重ねてください。
さて、国語(評論)では、それ以外にも新傾向の問題が見られました。まず、漢字問題です。漢字問題はセンターを踏襲して昨年(2021年度)も出題されましたが、今年は新たに漢字の意味を問う問題も出されました。2問のうち1問をご覧いただきましょう。
〈問題〉
傍線部(オ)「与える」とは異なる意味を持つものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① キョウ与 ② ゾウ与 ③ カン与 ④ ジュ与
「与」には、「あたえる」のほかに、「味方になる(くみする)」「関わる(あずかる)」などの意味があります。各選択肢のカタカナの部分を漢字に直すと、①供与、②贈与、③関与、④授与、となりますが、③は「関」の字が用いられていることからも分かるとおり、「関わる」の意味です。そのほかの選択肢は「あたえる」の意味なので、正解は③と判定でき ます。
本問は、たんに漢字の読み書きだけでなく意味も問うたという点で新しい問題でしたが、実はこのような問題はセンター漢文でずっと出題されてきました。漢文では、「与」は動詞のほかに、前置詞として「と」「よりは」、終助詞として「か」「や」と訓むなど頻出の多義語であり、『新ゴロゴ漢文』でも巻末の虎の巻で取り上げています。漢字の学習ということでは、漢文と連動させることも求められてくるでしょう。
次に、表現の特徴を問う問題です。小説では必出ですが、評論で設問1つがまるまる表現の問題であったのは、センター以来、初めてのことでした。新学習指導要領でも表現力は重視されており、今後、繰り返し出題される可能性があります。
ただし、解き方は小説の表現を問う問題と同じでしたので、そちらでトレーニングを積んでいけば心配ありません。ここでは正解の選択肢のみ引用します。
④ 豚肉を「あなた」と二人称で表しながら、比喩を多用して消化過程を表現することで、生きものが他の生物の栄養になるまでの流れを軽妙に説明している。
「ことで」が正誤の判定のポイントです。表現とその効果とが「ことで」で結ばれており、その因果関係が妥当かどうかで正誤を見極めるというのは、小説で何度も出されてきました。この選択肢は、「比喩」と「軽妙に」の関係に無理がなく、正解と判定できました。その他の選択肢は因果関係がおかしかったので、実際に問題にあたってみてください。
このように、どの科目でも、新傾向型の問題を知り、学習に組み込んでいきましょう。次回は国語(小説)に進んでいきます。
※試行調査および2021年度の問題については第1回~第10回、攻略法については第11回~第20回の記事で説明していますので、そちらをお読みください。