第66回 漢字の学習法・④共通テスト国語の漢字対策2
前回は、共通テスト国語で出題される「傍線部と同じ漢字を用いるものを選ばせる」という形式の漢字問題について、対策と勉強法をお話しました。『新・ゴロゴ現代文〈漢字〉』を活用しながら、同音異字や訓読みを効率よく覚えていってください。
さて、今回は、共通テスト2年目の今年(2022年度)に出題された、新しい形式の漢字問題についてです。2022年度の問題では、従来の「傍線部と同じ漢字を用いるものを選ばせる」問題が5問から3問に減り、その分、「傍線部とは異なる意味で用いている漢字を選ばせる」という、新しい形式の問題が2問出されました。
このように言ってもピンと来ないでしょうから、実際の問題をご覧いただきましょう。
〈問題〉
傍線部(オ)「与える」とは異なる意味を持つものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① キョウ与 ② ゾウ与 ③ カン与 ④ ジュ与
「与」には、傍線部の「与える(あたえる)」のほかに、「味方になる(くみする)」「関わる(あずかる)」などの意味があります。各選択肢のカタカナの部分を漢字に直すと、①供与、②贈与、③関与、④授与、となりますが、③は「関」の字が用いられていることからも分かるとおり、〈関わる〉の意です。「事件に関与する」などと言いますね。そのほかの選択肢は〈与える〉の意なので、正解は③と判定できます。
漢字問題にはもともと、文脈から適当な語を判断するという点で、漢字の意味を問うという側面がありますが、共通テストで出題されたこの新しい形式の問題は、より踏み込んで問うたと言えるでしょう。第64回の記事で、学習において漢字の意味を理解しながら覚えていくべきことについて述べました。ふだんからその点を意識して学習していればけっして難しくありません。漢和辞典も適宜引くようにしましょう。
ただし、新形式のこの問題で問われるのは複数の意味を持つ漢字のみです。そこで、『新・ゴロゴ現代文〈漢字〉』では、第9章に「共通テスト漢字-複数の意味を持つ漢字ベスト50」を設けました。「悪(アク・オ)」「易(イ・エキ)」など、意味によって読み方が区別される漢字もあります。熟語とともに整理してください。
実は、漢字の意味を熟語の形で問う問題というのは、漢文でセンター試験の時代から出題されてきました。漢字の学習ということでは、漢文と連動させることも求められてくるでしょう。『新・ゴロゴ漢文』では、巻末の虎の巻で複数の意味を持つ漢字を整理しています。こちらもご活用くだされば幸いです。
次回は、これまで述べてきたことを踏まえて、『新・ゴロゴ現代文〈漢字〉』の構成と学習の進め方についてお話したいと思います。