本日11月5日に『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』が刊行されました。本書は、先に刊行された『新ゴロゴ現代文〈漢字〉』の姉妹編にあたるもので、現代文で必要とされる知識の両輪をなします。そこで、今回からは、現代文における語彙・テーマの学習法や、本書の特徴についてお話していきたいと思います。
 さて、現代文で語彙の学習をする必要があるのでしょうか? それは、現代文(とりわけ評論文)で用いられている語彙というのは、日本語でありながら、ふだんの生活では使わないものばかりだからです。
 たとえば、現代文の最重要語の一つが「逆説」です。本文で「逆説」の語が出てきたら、傍線が引かれるなど確実に問題に絡みます。しかし、友人との会話で「逆説」と言うことはないでしょう。だから、英単語や古文単語と同じように、現代文の語彙も学習する必要があるのです。
そして、語彙を学習するというのは、たんに覚えるということだけではなく、意味を理解するということでもあります。「逆説」の意味を説明できますか? 「反対のこと」といった単純なものではありません。「一見矛盾しているようで、正しいことを述べた説」という意味です。
「急がば回れ」と言いますね。急ぐと回るでは矛盾しているように思えます。しかし、急いでいるときほど慎重に物事を進めた方が、結果的に早く片付くもの。つまり、「急がば回れ」は正しいことを述べた「逆説」なのです。
 このように、意味をきちんと理解していれば、本文で「逆説」の語が出てきたときに、何と何が矛盾していて、何が正しいことなのかを意識して読むようになります。そして、それこそが「逆説」に関係して出題者が問おうとすることです。ですから、語彙を学習することで、本文の読みが深まり、解答の根拠も見つけやすくなります。語彙の理解は読解力・得点力に直結しているのです。
 『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』第1章では、「逆説」をはじめとして、「象徴」「普遍」など10の重要語を取り上げて、詳しく説明しています。上段には内容に関連したマンガもありますので、理解の助けとなるでしょう。また、すべての重要語に入試問題から例文を用意しているというのも本書の特徴の一つです。
 まずは第1章を読み込んで、10の重要語をしっかりと理解してください。本文で何度も出てくるものばかりですので、それだけで効果てきめんです。
 次回は、現代文におけるテーマ学習の必要性についてお話したいと思います。