第69回 現代文語彙・テーマの学習法・②頻出テーマは確実に存在する
前回は、現代文における語彙の学習の重要性についてお話しました。「逆説」「普遍」などの重要語の理解は、読解力・得点力に直結します。まずは『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』の第1章を熟読してください。
さて、今回はテーマについてです。現代文で語彙の学習が必要なのは、ふだんの生活では使わない言葉が現代文(とりわけ評論)では用いられるからでしたね。テーマの学習が必要な理由も同様です。家族や友人との会話では話題にしない内容が、評論では論じられているからです。
例えば、人間は言葉を操る動物であり、言葉を用いて周囲の人たちとコミュニケーションをとっていますが、「人間にとって言葉とは何なのか?」といったことを話し合ったりはしないでしょう。しかし、評論の筆者にとってはそうした問いこそが重要であり、だからこそ、それを突き詰めて文章にしたためるのです。
言葉は、具体的なものから共通する要素を取り出して(抽象)、それをまとめて言う(概念)働きをするものと言えます。あるいは、「ハトは平和の象徴」と言うように、目に見える具体的なもので目に見えない観念をあらわす(象徴)働きをしているとも捉えられるでしょう。人によって捉え方はさまざまですが、しかし、根本にある見方や考え方というのは変わるものではありません。それは、人は等しく理性を持ち合わせているからです。
実は、入試問題として用いられる評論で論じられるテーマというのは、ある程度決まっています。それは、いま述べたこととともに、高校を卒業した受験生が読める内容となると、限られてくるからです。高度で専門的な内容では、誰も理解できないでしょう。ですから、評論の頻出テーマというのは、確実に存在します。皆さんにも、「似たような内容の文章を以前に読んだ気がするな」といった感覚があるのではないでしょうか。
生徒からのよくある質問に、「知らないテーマの文章が出たときに全然読めないのですが、どうすればよいですか?」というものがあります。答えは明快です。頻出テーマを頭に入れておく。それにより、内容的に躓くことはなくなります。
『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』では、第1章の10の重要語に続いて、第2章では10の基本テーマ、第3章では10の発展テーマについて詳しく解説しています(第1章と同じくマンガと例文付きです)。第3章は難関大向けですので、まずは第2章を読み込みましょう。「言語」「近代」「日本」など、評論で論じられる内容をひととおり扱っています。
次回は、語彙を学習するうえで心がけてほしいことについてお話します。