第72回 共通テストの傾向と対策・①センター試験の過去問で基本事項を固めよう!
いよいよ12月に入り、来年1月の共通テストに向けてラストスパートをかける時期かと思います。そこで、今回からは、どのような点に注意して学習を進めていくべきかについてお話していきましょう。
まず、全科目にわたる特質として述べておきたいのは、センター試験から共通テストへの移行により変化した部分が強調されますが、実は、センター試験を踏襲した部分も多い、ということです。
現行の共通テストの問題は、以下の2つの類型に分けられます。
1-従来型:センター試験を踏襲した問題(基礎力重視)
2-新傾向型:文章や資料を用いた問題(思考力重視)
従来のセンター試験は、一次試験としてミニマムの知識を問うという観点から、各科目とも単純に知識や公式の適用を問う問題が中心でした。そこに、新学習指導要領で掲げられた「思考力・判断力・表現力」を問うべく、共通テストが始まります。共通テストでは、文章や資料を与え、それを材料に受験生に考えさせる問題が数多く出題されるようになりました。
しかし、全ての問題がこのような新傾向型の問題になったわけではありません。共通テスト初年度の2021年度には半数近く、2年目の2022年度は4割近くが従来型の問題でした。出題する大学入試センターとしては、少しずつ従来型の問題を減らしていき、ゆくゆくは新傾向型の問題で固めたいという意向であると思われますが(実際に開始に先立って行われた試行調査では、大半が新傾向型でした)、当面は従来型の問題が一定の割合を占めると考えられます。
また、新傾向型の問題も、何の予備知識がなくても与えられた文章や資料が読めるというわけではありません。各科目で学習した内容と重ね合わせることで、文章や資料の意味するところが分かる、というような問題の作りになっています。基礎力を重視する姿勢はセンター試験から変わっていないのです。
ですから、共通テスト対策としては、目先の新傾向型の問題ばかり取り組むのではなく、各科目の基本となる部分をしっかりと固めることが先決です。そのときに活用してほしいのが、センター試験の過去問です。センター試験はミニマムの知識を問う問題として非常によくできています。まずはセンター試験の過去問で基本事項をしっかりと固めたうえで、共通テストに進んでいくというのが効果的でしょう。
「急がば回れ」と言いますが(「逆説」でした)、直前期であるからこそ、足元を見つめ直すことが、共通テストで実りとなり、そして、続く私立大・国公立二次試験にもつながっていくはずです。
次回からは、国語に絞って共通テストの傾向と対策をお話していきたいと思います。