第73回 共通テストの傾向と対策・②現代文では指示語を最優先しよう!
前回は、共通テストの総論として、文章や資料を用いた新傾向型の問題だけでなく、知識を問う従来のセンター試験型の問題も一定の割合で出題されていること、ですから、センターの過去問を活用して基本事項を固めることが有効であることについてお話しました。直前の時期だからこそ、足元をもう一度見つめ直してください。
さて、今回から国語に絞って傾向と対策について、お話していきます。国語に関しては、共通テストの開始に先立って行われた試行調査では、これまでにないさまざまなバリエーションの問題が出題されましたが、蓋を開けてみると、初年度の2021年度、2年目の2022年度ともに、センター試験とそれほど変わらない出題であったという印象です。
現代文で言うと、複数の文章が用意されるなど見かけ上の変化はありましたが、根っこのところでは、段落ごとの読みを積み重ねて本文全体の内容を捉えるという、きわめてオーソドックスな問題であったと言えます。
特に注目すべきは、「傍線部中、あるいは傍線部の直前に指示語がある場合、まずは指示語問題として解く」という、センター現代文で鉄則中の鉄則であった解法公式が、共通テストでも引き続き威力を発揮する、ということです。
2021年度の第1問から例題を挙げます。
〈例題〉
「表象」は、意味を伝えるものであるよりも、むしろ、形象性、視覚的側面が重要な役割を果たす「記号」である。(中略)キャラクターとなった妖怪は完全にリアリティを喪失し、フィクショナルな存在として人間の娯楽の題材と化していった。妖怪は「表象」という人工物へと作り変えられたことによって、人間の手で自由にコントロールされるものとなったのである。こうした妖怪の「表象」化は……
問 傍線部C「妖怪の『表象』化」とはどういうことか。その説明として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
傍線部の直前にある幅広い指示語「こうした」が受ける内容を押さえるという、解法公式どおりの問題でした。ここでは正解の選択肢のみ挙げますので、本文の内容を過不足なくまとめていることを確認してください。
② 妖怪が、神霊の働きを告げる記号から、人間が約束事のなかで作り出す記号になり、架空の存在として楽しむ対象になったということ。
このような指示語に着目して解く問題は、センター現代文で毎年のように出題されてきました。それは、指示語の受ける内容を押さえるということが、文章を筋道立てて読むための、基本中の基本だからです。それは、共通テストでも変わりません。センターの過去問で、解法公式のマスターを図ってください。
次回は、選択肢の正誤を判定するうえで注意すべきことについてお話したいと思います。