第77回 共通テストの傾向と対策・⑥選択肢に迷ったときに実行すること
前回は、共通テスト古典の解き方についてお話しました。〈文法〉に着目すると、選択肢を絞りやすくなります。本番まであと1週間ですが、文法事項は一度さらっと見直しておいてください。
今回は、より実戦的に、選択肢に迷ったときにどう選ぶかというお話をしたいと思います。2択まで行ったのだけれども、決めきれない。あるいは、どの選択肢も正解のように見える。そんな経験はありますよね。そこで手をこまねいていても、時間を浪費するばかりです。そのような場合は、凝り固まった視点を切り替える必要があります。今回はその方法について2点紹介します。
まず1点めは、「問題文を読み直す」ということです。共通テストのような選択問題の場合は、どうしても選択肢の方に注意が集中してしまいます。それで決めきれないときは、いったんリセットして、問題文をもう一度丁寧に読み直しましょう。そして、問われている内容をしっかりと押さえて、「問いに対する答えになっているか」という視点で選択肢を見直してください。
「日本の首都はどこですか?」と問われて、「日本一高い山は富士山です」では答えになっていませんよね。実は、共通テストでは、各科目にわたって(特に文系科目)、内容的には正しいけれども、問いに対する答えになっていないから×という選択肢が多く見られます。そういう選択肢は、選択肢だけ見ていると、「あれ?本文の内容に合致しているんだけれども」「知識的に正しいはずなのだけれども」と、ドツボにはまってしまいます。だから、いったん問題文に立ち戻ってほしいのです。
例えば、日本史で「7世紀後半の出来事として最も適当なものを選べ。」という問題で、8世紀の大仏開眼や9世紀の承和の変について書かれていても、正解にはなりえませんよね。「問いに対する答えになっている選択肢を選ぶ」という感覚をもつことが肝心です。
次に、2点めとして、「正しいもの」を選ぶのではなく、「最も適当なもの」を選ぶという感覚で、選択肢を見直しましょう。共通テストでは、たいていの問題文に「最も適当なものを~一つ選べ。」とあります。それは、「正しいもの」は一概に決められないからです。
国語で言えば、文章というのは読者の多様な解釈に委ねられています。正しい唯一の読みを決めることはできません。ですから、選択肢文にしても、客観的に見てこれくらいは妥当であろうということしか書けません。事情は知識系の地歴・公民の科目でも同じです。
「正しいもの」を選ぼうとしていると、重箱の隅をつつくように細かいキズを探してしまいます。そして、ないはずのキズが見えてしまうのです。そのようなときは、「最も適当なもの」を選ぶという意識にリセットしましょう。
そうすると、例えば、選択肢が2つに絞られて、どちらも良いように思えるけれども、より良いと言えるのはこちらだ、というように、比較することができるようになります。そのさい、「より良い」もの判断基準となるのは、国語ならば本文の趣旨により近いかということです。「正しいもの」を選ぶという固定観念から解放されると、けっこう簡単に選べたりするものです。
問題文を読み直す・最も適当なものを選ぶ。選択肢に迷ったときに思い出してください。