前回は、入試期間中の心構えとして、「問題の答え合わせをしない」ということについてお話しました。分からなかった問題を調べたところで、次の試験にはまったくつながりません。切り替えて、合格可能性を少しでも高めるための努力をしてください。
 さて、今回も入試期間中にしてはいけないことをお話します。それは、「新しいものに手を出すこと」です。
12月から1月にかけて、「○○もやった方がよいですか」という質問を多く受けます。新しい参考書や問題集に着手したいという相談です。こうした質問に対する答えは決まっています。「これまで使ってきたものを完成させることを優先しなさい」です。
 入試期間中は、すべての範囲が終わっていることを前提に、苦手な分野や固めきれていない単元を補強していくことが中心になります。ですから、まずは自分に足りないことは何かを把握することが先決です。当然、これまで使ってきた参考書やノート・プリントをひととおり見返す必要があります。見直しには十分に時間を取ってかまいません。それ自体が勉強になります。
 そのうえで、具体的にやるべきことは、これまで使ってきた参考書やノート・プリントの徹底的な復習です。それなしに新しいものに手をつけても、ほとんど効果はありません。
 そもそも、直前期に新しい参考書や問題集に手を出すのは、リスクが伴います。第一に、それが自分に合ったレベル・内容であるのかが分かりません。第二に、内容の確認のためこれまで使ってきた参考書を見返そうとしても、単元などが対応していなければ手間がかかります。直前期に新しいものを始めても、効率が良くないのです。
 それでも、タイトルに「○○時間完成」「短期集中」などとあると魅力に感じます。しかし、直前期に特化した参考書や問題集というのは、全ての範囲が仕上がっているということを前提としています。それだけやれば得点力がアップするものでもないのです。
 また、購入したのに手をつけていなかったものなどがあると、もったいないようにも思います。しかし、それまで手をつけていないというのには、何かしら理由があるものです。やはり効果はあまり期待できません。
 以上のとおりですので、新しいものに手を出すのではなく、これまで使ってきたものを完璧にするということを優先してください。それこそが合格への確実な道です。また、問題集などをやりたいというときは、信頼している先生に必ず相談しましょう。自分に合ったものを教えてくれるはずです。
 新しいものをやりたいという気持ちは分かります。しかし、それも、前回お話したことと同じく、「不安」から生じるものでしょう。そういうときこそ、これまで積み重ねてきたことに「自信」をもってください。