前回は、「新しいものには手を出さない」ということについてお話しました。入試本番が直前まで迫っていますので、あれもやらなければ・これもやらなければと「不安」になる気持ちも分かりますが、これまで使い慣れたもので「自信」を深める道を選んでください。
 さて、今回は、入試が続く中でどのようにして「to do リスト」をこなしていくか、というお話をしたいと思います。当然のことながら、夏休みや1学期・2学期中のように、大きな目標を立てて、時間をかけてじっくりこなしていくようなことはできません。それどころか、そのように大きく計画を立てると、かえって何もできない無力感が残るばかりです。
 しかし、時間がないからと言って、何もできないということではありません。直前期、そして、入試期間中というのは、今まで以上に集中力が高まっている時期でもあります。やり方しだいでできることはいくらでもあります。ですから、入試期間中に合った「to do リスト」を作ってほしいのです。
 それは、5分くらいのスキマ時間でこなせるような「to do リスト」にする、ということです。食事が終わった後の5分、電車の移動中の5分、そうしたわずかな時間でできるように、リストを作成しましょう。
 たとえば、英語で「仮定法を見直す」というのは無理ですが、もっと範囲を限定して、「仮定法過去完了のテキスト2ページ分」ならば、5分で確認できるはずです。そのように、目標をピンポイントに定めることが、時間の有効利用につながります。
 では、そのような目標を、どのようにして定めるのが良いのでしょうか? それは、直近の試験をもとに考えてください。前々回の記事でお話したように、問題の答え合わせをするのは時間の無駄です。しかし、あの単語が分からなかったとか、この部分の文法理解があやふやだったとか、そのような感触は残っていると思います。それを放置するのは良くありません。そこで、帰宅後や次の日のスキマ時間を利用して、確実に補強していくのです。
 ここで、「近代哲学の父」と呼ばれるルネ・デカルトの言葉を紹介しましょう。「困難は分割せよ」です。デカルトは、理性を正しく働かせ、真理に到達するために、検討すべき課題をできる限り小さく分割するべきだと考えました。大きな山のままだと圧倒されてしまいますが、小さな山にすれば思いのほかできるものです。できることを一つでも積み重ねて、合格をたぐり寄せてください。応援しています。