今回からは、主に受験学年を迎える新高3生の皆さんを対象として、今年度の共通テストにどのような傾向が見られ、どのように学習を進めていけば良いのかについてお話していきたいと思います。
 共通テストも3年目となり、出題の方向性もだいぶ明確になってきました。また、昨年の秋には、2025年度以降に新設される「公共」や「情報」、また、新たに出題に加わる国語(現代文)の実用文の試作問題も、大学入試センターから発表されています。来年度の共通テストには直接関係がありませんが、大学入試センターの方針を知るうえで重要な情報ですので、大枠は知っておくべきです。
 さて、真っ先に受験生となる皆さんにお伝えしたいのは、「共通テストには旧来のセンター試験を踏襲した問題が多数出題されている」ということです。一昨年(2021)に共通テストが始まった際には、思考力や判断力を問うということで、センター試験との違いが強調されました。また、開始に先だって2017年・2018年に行われた試行調査では、これまで見られなかった新傾向の問題が用意され、関係者に衝撃を与えました。
 しかし、いざ蓋を開けてみると、完全に違う問題になったというのではなく、センター試験と変わらぬ問題も出題されたのです。
 ここで、共通テストの問題を類型化すると、次の2つに分けられます。

1-従来型:センター試験を踏襲した問題(基礎力重視)
2-新傾向型:文章や資料を用いた問題(思考力重視)

 従来のセンター試験は、文系・理系を問わず各科目で必要最小限(ミニマム)の学力を問うという点で、よく出来ていました。そこに、新学習指導要領がうたう「思考力・判断力・表現力」を問う問題を加えたいというのが、共通テストの趣旨です。ですから、一次試験としての役割を担う共通テストには、基本事項を問う従来型の問題も多く含まれています。
 共通テスト初年度の2021年度は、従来型6割・新傾向型4割くらいの配分でした。それが、年々新傾向型の問題が増加し、今年は従来型4割・新傾向型6割と逆転していました。試作問題を見る限り、大学入試センターとしては、新傾向型の比率を7割くらいにしたい意向なのだと思います。
 しかし、基礎力を重視した従来型の問題がなくなるということは考えられません。また、思考力を重視した新傾向型の問題においても、当然、各科目における基本事項の理解が前提となっています。
 その意味で、共通テスト攻略のために何よりも大切なのは、「基本事項の徹底」と言えるでしょう。新高3生の皆さんには、夏を迎える前に各科目の基礎をきちんと固めておいてほしいところです。
 次回からは、実際に出題された問題を見ながら傾向を分析していきます。