前回は、今年度の共通テスト国語から、〈文法〉がダイレクトに問われた古文の問題をご覧いただきました。古文の土台となるのは〈語彙〉と〈文法〉ですので、この両輪を学習の中心に据えて、夏までに固めてください。
 さて、今回は漢文について見ていきます。漢文で、古文の〈文法〉にあたるものは〈句法〉です。漢文は国公立や2次で出題されないので後回しにしている受験生も多いのですが、〈句法〉をマスターすれば共通テストは確実にできます。かつ、学習量は他の科目と比べると圧倒的に少なくて済みますので、早いうちに片付けてしまってください。
 次の問題をご覧ください。

〈例題〉
問2 傍線部A「君者無不思求其賢、賢者罔不思効其用」の解釈として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
(補足:「罔」には「なシ」、「効」には「いたスヲ」とかなが振られている。
① 君主は賢者の仲間を求めようと思っており、賢者は無能な臣下を退けたいと思っている。
② 君主は賢者を顧問にしようと思っており、賢者は君主の要請を辞退したいと思っている。
③ 君主は賢者を登用しようと思っており、賢者は君主の役に立ちたいと思っている。
④ 君主は賢者の意見を聞こうと思っており、賢者は自分の意見は用いられまいと思っている。
⑤ 君主は賢者の称賛を得ようと思っており、賢者は君主に信用されたいと思っている。

 傍線部で注目すべきは、「無不」「罔不」という二重否定の形です。「~せざるはなし」と訓み、〈~しないものはない・必ず~する〉と強い肯定の意味を表します。これを踏まえて前半の句を解釈すると、「君主は必ず賢者を求めようと思う」となりますね。賢者を求めるというのは、要するに、賢者を大臣として登用するということです。よって、③「賢者を登用しようと思っており」が適当であると判定できます。
 後半の句は、「効其用」の部分の解釈が難しいですが、前半の句と〈対句〉になっていることに注目してください。〈対句〉とは、意味的・構造的に対応する二つの句を並べることで、ここでは「君者」と「賢者」、「無不」と「罔不」、「思」と「思」、「求其賢」と「効其用」が構造的に対応しています。ですから、「効其用」の意味は「求其賢」との対で考えれば良いでしょう。要するに、君主が賢者を用いたいと思っているように、賢者も君主に用いられて効果を発揮したいと思っているということです。すると、③の「君主の役に立ちたいと思っている」が適当であると判定できます。
 このように、漢文は〈句法〉と〈対句〉で確実に正解できますので、『新ゴロゴ漢文』(スタディカンパニー)などを用いてマスターしてください。
 ここまで、共通テストの類型として、基礎力を問う従来型の問題を見てきました。そして、基礎力を前提に思考力や応用力を問う新傾向型の問題も出題されているわけです。次回からは、新傾向型の問題の問題について見ていきましょう。