前回は、評論文は具体と抽象の繰り返しによってできているということについて説明しました。読者に分かりやすいように具体例を用いて説明し、それを抽象化して〈言いたいこと〉を述べる。筆者の主張は抽象の部分にありますので、しっかりと押さえてください。
 さて、具体と抽象の関係を示す働きをしているのが、「このように」「そういう」などの〈幅広い指示語〉でしたね。具体的に述べたうえで、段落の終わり、あるいは次の段落の冒頭で〈幅広い指示語〉を用いて、主張に落とし込むわけです。〈幅広い指示語〉は本当に解答に直結しますので、「攻略アイテム10」を用いて確実にマーク・線引きしましょう。
 そして、この〈幅広い指示語〉とともに具体と抽象の関係を示すのが、「つまり」「言い換えれば」などの要約・言い換えの接続語です。今回はこの働きを解説します。
 第一に、要約・言い換えの接続語が本文に出てきたら注意すべきことは、具体→抽象の順であるか、抽象→具体の順であるかを見極めることです。〈幅広い指示語〉では必ず具体→抽象の順ですが、要約・言い換えの接続語では逆の場合があります。
 例文で見てみましょう。

1‐現代は、マス・メディアと呼ばれるものの圧倒的な発達に支えられた、情報と宣伝の時代であり、つまり、言葉の氾濫の時代である。
2‐そのとき我々は投影のひきもどし、つまり、他人に投げかけていた影を、自分のものとして自覚しなければならない。

 まず、1の例文では、現代は「マス・メディアと呼ばれるものの圧倒的な発達に支えられた、情報と宣伝の時代」であると詳しく説明したうえで、要約・言い換えの「つまり」の後で「言葉の氾濫の時代」であるとまとめています。ですから、具体→抽象の順です。
 これに対して、2の例文では、先に「投影のひきもどし」と端的に述べたうえで、それを「つまり」の後で「他人に投げかけていた影を、自分のものとして」と説明しています。「投影」とは、心理学用語で、自分の心のうちにある感情を相手に投げかけることです。好意を寄せている異性に少し優しくされただけで、向こうにも気があるのではないかと思うことがありますよね。でも、それは「投影」による勝手な思い込みなので、勘違いしないように「自覚しなければならない」と述べているのです。それはさておき、この例文では抽象→具体となっています。
 このように、要約・言い換えの接続語の前後の関係は、具体→抽象の場合と抽象→具体の場合がありますので、判別してください。そして、筆者の〈言いたいこと〉は抽象にありますから、そちらをチェックしましょう。例文1では「言葉の氾濫の時代」、例文2では「投影のひきもどし」です。要約・言い換えの接続語の前後ではキーワードとして示されることが多いですので、丸囲みしてプラスのマークを付けましょう。
 次回は、要約・言い換えの接続語に着目して解く問題を紹介します。