前回は、共通テスト小説の解き方として、〈アンビバレントな心情〉に注目するという
ことについてお話しました。人間の複雑な心理を読み解くのが小説の面白さであり、そこ
が問題でも問われます。選択肢の正誤を判定する際にも、〈アンビバレントな心情〉が説
明されているかどうかということを判断材料にしてください。
 さて、第121回~第123回の3回にわたって、現代文(評論・小説)の解き方について説
明してきました。そこで強調したのは、複数の文章や資料を用いるなど従来のセンター試
験にはなかった新傾向が見られるものの、文と文の関係を的確に捉えて全体を理解すると
いう文章読解の基本が問われていることには変わりがない、ということでした。共通テス
トでも基本が重視されているのです。このことは、国語以外の科目でも同様ですので、つ
ねに意識しながら最後の追い込みを図ってほしいところです。
 今回は古文についてお話します。共通テスト古文でも基本が問われます。では、古文の
基本とは何でしょうか? それは〈文法〉と〈語彙〉です。例えば、共通テスト初年度の
2021年度には、次のような問題が出題されました。
〈例題〉
 「里に出てなば」の解釈として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 自邸に戻ったときには
② 旧都に引っ越した日には
③ 山里に隠棲するつもりなので
④ 妻の実家から立ち去るので
⑤ 故郷に帰るとすぐに
 まず、「里」に「自宅・実家」の意味があることは必修事項です。この時点で①「自邸
」と④「実家」に絞られます(②「旧都」・⑤「故郷」の意味を表わすのは「ふるさと」
です)。次に、文末の「なば」は、完了「ぬ」の未然形と接続助詞「ば」に品詞分解でき
ます。これも文法の必修事項でしょう。未然形+「ば」ですから仮定条件であることに留
意してください。④のように「ので」と確定条件では解釈できません。「~してしまうな
らば」を「~ときには」と意訳したと捉えれば、①が正解と判定できます。
 この問題が〈文法〉と〈語彙〉を問うというきわめてオーソドックスな作りになってい
ることに気づくでしょう。共通テストに移行しても、基礎力を重視した従来型の問題が半
分近くを占めているのです。まずはこうした問題を落とさないことが重要です。
 問題を解く際には、傍線部の文言を分析して、説明が必要な語や文法事項をピックアッ
プしましょう。そして、選択肢を見る際にも、そうした部分が的確に説明されているかど
うかで正誤を判断してください。そして、直前の総整理として、古文単語と文法事項の確
認は欠かせません。文法は助動詞までを徹底的に学習してください。
 次回は漢文についてお話します。