今回も反語形の慣用的な表現です。これで反語になるのは意外かもしれませんので注意してください。

問題 次の文を訓読せよ。

 独不愧於心乎。 ※「愧」は「恥」に同じ。

正解 独り心に愧ぢざらんや。

解説

 「独」というと、限定形や否定語と組み合わせた累加形を思い浮かべますが、疑問の終助詞と組み合わせると反語形になります。「独」は「どうして」の意です。本問のこの文は「どうして心に恥を抱かずにいられようか。いや恥ずかしく思う」と解釈できます。『史記』にある項王が最後に述べた言葉です。

☆今回扱った句形は、『新・ゴロゴ漢文』巻末「虎の巻」に掲載されています。