今回から、本番まで2カ月を切った共通テストの傾向と対策についてお話していきたい
と思います。今回はまず共通テスト全般の総論です。2021年度から始まった共通テストは
、今年で3回目でしたが、だいぶ方向性が見えてきたと言えるでしょう。各科目とも、問
題は次の2つのタイプに分類されます。
1-従来型:センター試験を踏襲した問題(基礎力重視)
2-新傾向型:文章や資料を用いた問題(思考力重視)
 従来のセンター試験は、一次試験として必要最低限の知識を問うという観点から、各科
目とも単純に知識や公式の適用を問う問題が中心でした。一方で、新学習指導要領で掲げ
られた「思考力・判断力・表現力」を問うべく開始された共通テストでは、文章や資料を
与え、それを材料に受験生に考えさせる問題が数多く出題されるようになりました。
 しかし、だからといって全ての問題がこのような新傾向型の問題になったわけではあり
ません。共通テスト初年度の2021年度には半数近く、2年目の2022年度は4割近くが知識を
問う従来型の問題でした。出題する大学入試センターとしては、少しずつ従来型の問題を
減らしていき、ゆくゆくは新傾向型の問題で固める意向と思われますが(実際に開始に先
立って行われた試行調査では、大半が新傾向型でした)、当面は従来型の問題が一定の割
合を占めると考えられます。ですから、各科目とも基本事項の徹底が重要です。
 また、新傾向型の問題も、何の予備知識がなくても与えられた文章や資料が読めるとい
うわけではありません。各科目で学習した内容と重ね合わせることで、文章や資料の意味
するところが分かる、というような問題の作りになっています。基礎力を重視する姿勢は
センター試験から変わっていないのです。
 ですから、共通テスト対策としては、目先の新傾向型の問題ばかり取り組むのではなく
、各科目の基本となる部分をしっかりと固めることが先決です。そのときに活用してほし
いのが、センター試験の過去問です。センター試験は必要最低限の知識を問う問題として
非常によくできています。まずはセンター試験の過去問で基本事項をしっかりと固めたう
えで、共通テストに進んでいくというのが効果的でしょう。
 次回は現代文の傾向と対策についてお話します。