第7回 現代文の勉強・②「意味」よりも「型」のほうが大事
前回は、現代文の勉強法の手始めとして、どうやって筆者の〈言いたいこと〉に線を引けばよいのかについてお話しました。現代文は「日本語の運用のしかた」を問う科目です。まずは、これに基いて作られた「攻略アイテム10」にしたがって、手を動かしてみてください。動かしているうちに、しだいに線引きするのが楽しくなってくるはずです。
今回は、『新・ゴロゴ現代文〈基礎~必修編〉』の冒頭に掲載されているこの「攻略アイテム」について、さらに掘り下げていきましょう。
前回の記事では、現代文が苦手な生徒の2つのタイプについて例として取り上げました。線引きが全然できないタイプも、文章のほぼ全てに線を引いてしまうタイプも、文章の内容的な濃淡が見極められていないということでした。これを裏返せば、現代文が得意な生徒というのは、濃淡を意識しながら読んでいる、ということです。そして、筆者の〈言いたいこと〉を確実に捉えられるということです。
なぜそのようなことができるのか? 観察していると、小学校のころから十分に読書経験を積んでいる生徒が多いように感じます。さまざまな文章に接するうちに、「日本語の運用のしかた」が自然と身につき、教わらずとも筆者の〈言いたいこと〉がつかめるのです。
国語の学力は読書量に比例するので、数多くの文章に触れてほしい。これは切なる願いですが、入試まで1年を切っている受験生にそのような余裕はありません。ですから、現代文が得意な生徒が読書を通じて自然と身につけている「日本語の運用のしかた」を、苦手な生徒は体系的に学ぶ必要があります。そのためのツールが、「攻略アイテム10」なのです。「攻略アイテム10」はきわめて実戦的に作られており、手を動かしているうちに筆者の「言いたいこと」にたどりつけるようにできています。
ここで重要なのは、「型」は「意味」よりも優先される、ということです。現代文を読んでいて、途中から意味が分からなくなり、全く見当違いの読みをしてしまったという経験は、誰にでもあると思います。それは少し考えれば当然です。現代文(評論文)では、近代や言語といった日常では話さない高度な内容が論じられています。ですから、「意味」を取り違えてしまっても致し方ありません。
そうしたときにこそ、「攻略アイテム10」は威力を発揮します。「意味」が分からなくても、「~ではなく」の後には〈言いたいこと〉が来るとみなして線を引いているうちに、「意味」も見えてくるのです。「攻略アイテム10」が基づく「日本語の運用のしかた」は、「型」とも言い換えられるでしょう。「意味」は取り違えますが、身につけた「型」は絶対に間違えません。だからこそ、「意味」よりも「型」を優先させてほしいのです。
次回からは「攻略アイテム10」について一つ一つ見ていきましょう。