実践「ニュース小論文」第9回答案紹介、講評
皆様、こんにちは。
初夏の強烈な陽射しから、夏のギラついた陽射しになってきましたね。
気温が上昇してバテやすくなるこの時期、健康管理だけは充分に気をつけましょう。
特に、時間管理と食事、そして適切な運動が、極めて重要になります。
前々回の答案御紹介と講評です。
ニュースを再掲します。
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以下のニュースを読み、190字以上200字以内で問題点を指摘し、解決策を述べよ。
エジプトの南部で2017年5月26日、キリスト教徒の一派、コプト教徒が乗ったバスが襲撃され、エジプト政府によると28人が死亡した。中東メディアは実行犯が過激派組織「イスラム国」(IS)に属していると伝えた。27日からのイスラム教のラマダン(断食月)を前に、IS関連組織がテロ攻撃を呼びかけていた。
エジプトの首都カイロから約200キロメートル南に位置するミニヤで、コプト教の修道院に向かうバスに男が発砲した。負傷者も20人以上いる。エジプトでは2016年12月、2017年4月にコプト教の教会が相次いで爆破テロを受けていた。いずれもISが犯行声明を出している。
エジプト治安当局はIS関連組織が拠点としていたシナイ半島での取り締まりを強化。その後、ISはエジプト本土に戦闘員を浸透させているもようで、テロの攻撃範囲が拡大している。ISは米国軍など有志連合の攻撃で、シリアやイラクで劣勢が続く。2017年5月22日の英国のコンサート会場に続き、エジプトでもテロを実行。国際社会の混乱を狙ったようだ。
《 日本経済新聞 2017年5月27日(土) 00時06分配信 》
このような世界のニュースを「世界のもの」として捉えてはいけません。
小論文とは、日本のことについて書くものなのです。
従って今回のこのニュースを、いかに日本のこととして捉え直すか、そこが最大の焦点でした。
[1]
いかなる宗教であっても最終目標は平和であるのにも関わらず、その手段が武力行使である宗教があることが問題だ。最終目標が平和ならば何をしても良いということではない。宗教に入る理由は沢山あるだろうけれども、人は武力行使をするような宗教だという事に気付けないほど心が病んでいるときに宗教に惹かれてしまう。本当に平和を達成したいのならば、そのような宗教などにどんな時も心がぶれない人を教育していくべきだ。(197字)
講評
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〔表現〕
- 第三文「~理由は沢山あるだろうけれど~」における「沢山」は「たくさん」という〔ひらがな〕にせねばなりません。
- 第三文「~ような宗教だという事に気付けない~」における「事」は「こと」という〔ひらがな〕にせねばなりません。
- 第三文全体として〈日本語がおかしい〉です。前半において「~たくさんあるだろうけれど~」と〈逆接〉なのに、それに対応する内容が「~に惹かれてしまう。」では、全くチグハグです。ここは2つに切るべきです。「~たくさんあるだろう。そして、~に惹かれてしまうのだ。」としましょう。
- 第四文「~していくべきだ。」って、どこに行くのですか?『~していく』は受験生が好んで用いる表現ですが、これは非常に曖昧で分かりづらい。安易に『~していく』を用いてはいけません。
- まず「宗教に入る」という発想が、いかにも日本的です。海外の多くの国々、特にイスラム圏の人々にとって、宗教は「入る」ものではありません。
- また〈小論文とは日本について書く〉ということを原則として下さい。この答案では『世界の人々を教育せよ』と結論づけていますが、そんなことは非現実的かつ単なる理想論です。そのような意見には誰も耳を傾けませんし、魅力も感じません。もっと現実的に捉えましょう。
- すなわち『宗教を背景としたテロは世界的に起こっている』→『その背景は貧困だ。宗教は単なる建前だ』→『世界の貧困を無くすための教育・技術支援を、日本が積極的にすすめて世界に貢献する』という流れが好ましいでしょう。
- ◎ 評価は45%です。
〔内容〕
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http://gorogo.com/m/17es/17es014.html