前回は、「①理解する」「②覚える」「③使いこなす」という勉強の3つの要素についてお話ししました。インプットしたことがアウトプットできるようになって、勉強は目標を達成したと言えます。どの科目でも、この3つの要素のバランスに注意してください。
 さて、今回からは国語の勉強法についてお話していきましょう。まずは現代文からです。多くの受験生にとって、現代文は最も何をしたら良いのか分からない科目なのではないかと思います。ですので、できるかぎり具体的に勉強のしかたを説明していきます。
 大前提として、現代文において勉強の3つの要素にあたるものはそれぞれ何なのでしょうか? もちろん要素が重なり合って簡単には分類できない部分もありますが、ざっくり言うと、「①理解する」は読み方・解き方の習得、「②覚える」は漢字・語彙のマスター、「③使いこなす」は問題演習にあたります。
 まず、「①理解する」=読み方・解き方の習得ですが、現代文というのは突き詰めると「日本語の運用のしかた」を問う科目であると言えます。
 私たちは日本語を母語として何気なく用いていますが、客観的に分析すると、「このように」「そういう」といった指示語(「これ」「その」などと区別して「幅広い指示語」と呼んでいます)を用いてそれまで述べてきた内容をまとめたり、「~ではなく」といったん否定してから主張を述べたりしたりします。
 そうした「日本語の運用のしかた」を理解していれば、本文の内容を的確に理解できますし、また、問題に対しても理詰めで明確な根拠をもって解答することができます。『新ゴロゴ現代文〈基礎~必修編〉』で整理していますので、ふだんは意識することのない「日本語の運用のしかた」をしっかりと理解してください。
 次に、「②覚える」=漢字・語彙のマスターですが、言葉を知らなければ文章の内容を理解できるわけがありません。特に、現代文が苦手な受験生というのは、言葉が分からないから遠ざけてしまうという面があると思います。ですから、苦手意識を払拭するという意味では、ここから始めるのが良いと思います。『新ゴロゴ現代文〈漢字〉』と『新ゴロゴ現代文〈語彙テーマ〉』を並行して進めてください。言葉の意味が分かれば文章の内容も理解できて、現代文の勉強が楽しくなってくると思います。
 ここまで述べた「①理解する」=読み方・解き方の習得と「②覚える」=漢字・語彙のマスターは、国語の勉強における「質」の部分にあたります。あらゆる科目でそうですが、とりわけ現代文は、やみくもに勉強していても成績は上がりません。ですから、勉強の「質」を高めることが先決です。
 そこに、「量」をかけ合わせることで、現代文の成績は飛躍的に上昇します。それを担うのが「③使いこなす」=問題演習ですので、次回はこの点についてお話します。