第96回 現代文の勉強法・③「攻略アイテム10」で濃淡を「見える化」する
前回は、難解な内容が論じられている現代文(評論文)では、「意味」よりも「型」のほうが大事であるという話をしました。「意味」は取り違えますが、身につけた「型」はけっして裏切りません。「日本語の運用のしかた」に基づいた「攻略アイテム10」を使いこなせるようにしてください。
さて、今回から2回にわたって、「攻略アイテム10」について一つ一つ見ていきたいと思います。『新・ゴロゴ現代文〈基礎~必修編〉』の冒頭に掲載されているとおり、「攻略アイテム10」とは、文章に記号を書き込んでいくことにより、筆者の〈言いたいこと〉を浮き彫りにするツールです。文章の内容的な濃淡を「見える化」するものと言ってもよいでしょう(なお、「見える化」のことを術語では「可視化」と言います)。
「攻略アイテム10」の働きは、大きく2つに分けられます。前半の1~6が言葉と言葉のつながりに関わるもの、後半の7~10が内容的な価値観に関わるものです。今回は前半の6つのアイテムについて見ていきましょう。
まず、「1順接マーク」は、「頑張って勉強した。だから、志望校に合格した。」のように、前後が順当につながっていくもの。「だから」「したがって」などの接続語に下向きの三角形を付けて、順接であることを押さましょう。また、「また」「しかも」など並立・添加を表わす接続語にもこのマークを付けてください。
次に、「2逆接マーク」は、「土砂降りとなった。しかし、試合は決行された。」のように、前後で反対の内容が述べられているもの。「しかし」「だが」などの接続語に上向きの三角形を付けましょう。
続いて「3要約・言い換えマーク」は、「理性を有する動物、つまり、ヒト」のように、前後で同内容が述べられているもの。「つまり」「要するに」などの接続語に下向きの矢印を付けましょう。なお、前後のどちらかがキーワードになりますので、見逃さないことが肝心です。
「4対比マーク」は、「一方」「これに対して」などの接続語で前後の内容を対比するもの。砂時計のマークを付けたうえで、前後のどちらが〈言いたいこと〉に当たるかを判断してください。
「5重要接続語・文末表現マーク」は、「こそ」「~ではないか」などの強調表現に波線を引くものです。強調されているのですから、当然〈言いたいこと〉に関わります。特に、定義をする「~とは」の表現は要チェックです。
「6指示語マーク」は、「これ」「その」などの指示語に二重線を引くものです。とりわけ、「このような」「そういう」などの〈幅広い指示語〉は重要ですので、必ず押さえてください(第47回・第53回などを参照のこと)。
今年度(2023)の共通テストの問題を解説した、第82回の記事でも述べたとおり、語と語、文と文のつながりを捉えることが文章読解の基礎であり、そこから内容的な濃淡も見えてきます。これらの攻略アイテムを用いて、それを「見える化」してください。
次回は後半の6~10のアイテムを解説します。