皆様、こんにちは。

ニュース小論文に際して、以下の点に注意して下さい。

  • (01) 「190字以上200字以内」を守って下さい。最近、あまりにも違反が多いのです。
  • (02) 段落分けは、絶対にしないで下さい。最初に1マス空けることも、しないで下さい。
  • (03) 必ずテーマから1~2段階抽象化して考えて下さい。
    例えば「ヒアリ」のニュースのときに「ヒアリ」をどうするか、ではなく「特定外来種の侵入による影響」を考えるのです。
    「忘れ物ランキング」のニュースのときに「忘れ物をした子どもをそんなふうに晒すな」ではなく「子どもの失策から、どのように教育するか」を考えるのです。
  • (04) 必ず「日本の国益を守るにはどうするか」を考えて下さい。「世界の利益」を考えても、ピンと来ない場合が多くなるだけですので、絶対にやめましょう。「世界のニュース」であれば、そうした状況で、日本が日本の利益を守るためにはどうするのか、を考えるのです。



 
前々回の答案御紹介と講評です。
ニュースを再掲します。
 
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以下のニュースを読み、190字以上200字以内で問題点を指摘し、解決策を述べよ。

長野県飯田市の市立小で、担任の50代の女性教諭が忘れ物の多い児童3人の名前を「忘れ物ランキング」と称し、黒板に掲示していたことが2017年6月30日、市教育委員会への取材で分かった。不適切な指導だったとして、校長が口頭で注意した。
市教委によると、教諭は教科書や宿題の忘れ物を減らそうと、2017年6月12日~16日の忘れ物の件数を集計。上位3人の児童に順位を付け、名前を紙に書いて黒板に張り出した。
保護者から学校に相談があり、教諭は児童と保護者に謝罪した。
市教委は「子どもの気持ちに立てば、今回の指導は不適切だった。再発防止に努める」としている。
《 サンケイスポーツ 2017年6月30日(金)  11時18分 配信 》



[1] Yさん
担任が「忘れ物ランキング」と称し、児童の名前を掲示していたことは、忘れ物をしていた生徒の名誉を大いに棄損する行為である。教科書や宿題の忘れ物をしてしまった生徒はもちろん反省し、2度と忘れ物をしないように努めるべきなのだが、名前を掲示するという処罰は少々行き過ぎた処置であったと感じる。例えば、帰りの会等で注意を促すだけでも生徒は罪悪感を感じると思う。担任は、生徒を律する方法を今一度よく考えるべきだ。
(200字)

講評

      ・話の内容を今回の事例だけに絞っています。これでは小論文ではありません。
      ・問題点も「名誉を大いに棄損する」「少々行き過ぎた処置」とあって、具体的になにが問題なのか、これではハッキリしません。
      ・「罪悪感を感じる」は「頭痛が痛い」と同じ理由で、間違っています。
      ・解決策が「担任」が「今一度考える」・・・これじゃ、あなたの意見はどこにもありません。ただ担任を責めているだけですね。
      ◎ 評価は20%です。

[2] Kさん
教師が、生徒の心に傷を残すような指導を行ったのが問題だ。確かに忘れ物をするのは授業を受ける上でしてはいけないことである。しかし、忘れ物が多い人をランキングで掲示するのは好ましくない。なぜなら、掲示された生徒が忘れ物が多いという汚名をつけられるからだ。また、それが原因でいじめにつながるかもしれない。忘れ物が多い場合は、保護者に連絡をして家庭内での指導をしてもらうことが大切である。
(190字)

講評

      ・「~~行った『の』が問題だ」「確かに忘れ物をする『の』は~~」「~~ランキングで掲示する『の』は~~」このように「の」を安易に使い過ぎていて、読みづらいです。
      ・「してはいけないことである」は、少々稚拙。「好ましくない」とする方が、好ましいです。
      ・話の内容を今回の事例だけに絞っています。これでは小論文ではありません。
      ・家庭内での指導が出来ていれば、忘れ物は多くならないのでは?「保護者に連絡をして家庭内での指導をしてもらう」ことは何の解決にもなりませんよね。
      ◎ 評価は30%です。

[3] きい さん
忘れ物をするという恥を個人が特定される形で表したことに問題がある。しかし、何か対策を取らねば忘れ物が一向に減らないというのも事実なのであろう。それならば、忘れ物が多かった子ではなく、忘れ物が少ない子の方を集計し、順位を貼り出すべきである。そうすることにより、子供たちの競争心が育つとともに忘れ物も減るだろう。まさに一石二鳥である。その結果、教員と生徒のどちらも不愉快な思いをせずにすむに違いない。
(198字)

講評

      ・忘れ物が少ない子を評価することで問題を解決しよう、とする姿勢は好ましいと思います。ただ、問題点を「忘れ物」だけに限っているところが残念です。「子供の教育には『欠点を叱責する』のではなく『長所を褒めて伸ばす』という姿勢が有効なのだ」くらいに、話を広げましょう。
      ◎ 評価は75%です。

[4] YPさん

    私は忘れ物ランキングという教師の行為について不思議には思わない。生徒が忘れ物を無くすために忘れ物が多い生徒を公表し、恥じらいを感じ、もうしないと努力するからだ。 確かに、生徒の名前を出すことによって周りの生徒からその子がいじめられてしまうという話になるかもしれない。保護者からの意見も一理ある。しかし、生徒を甘やかさず正しい道に導くのが教師の仕事だ。だから教師は間違ってないと私は思う。解決策があるとするならば生徒自身に問いかけて注意すべきだ。
    (221字)

    講評

      ・190字以上200字以内というルールに違反していますので、残念ながら零点です。
      ◎ 評価は0%です。(字数オーバーによる)


[5] YPさん
児童の名前をはり出す指導が問題だ。児童を傷つけ、忘れ物に気をつけようという気持ちをそぐ可能性もあるだろう。教諭の年齢からみると教諭の学生時代にはこの様な指導よりも厳しい指導が一般的であったであろうが現代では通用せず、パワハラなどと言われてしまう。厳しい指導を全くしないことは児童、生徒を甘やかすこととなり良い教育とは言えない。昔の方法を現代に適用するのではなく、現代に合う方法を適用させるべきだ。
(198字)

講評

      ・ここでの「パワハラ」は不適切です。
      ・「厳しい指導が一般的であったであろうが現代では通用せず」と書いた後で「厳しい指導を全くしないことは児童、生徒を甘やかすこととなり良い教育とは言えない」とあります。完全に論理破綻を起こしています。
      ・「現代に合う方法」って具体的になんですか?それを書いて欲しいのですよ。
      ◎ 評価は0%です。(完全なる論理破綻による)

[6] ゴリス さん
児童に直接注意すればよいのに、このように黒板に掲示して、他の児童の目にもさらしたことが問題である。これはいじめの原因にもなりうる。いじめはどこから火がつくか分からないものであるから、こういった児童を羞恥にさせることはやめるべきだ。宿題や忘れ物は、児童個人の問題であり、先生や学校が関与できない家の中で解決するものだ。だから、児童の親と面談や本人に直接説教や注意をして改善を促すことが必要である。
(197字)

講評

      ・いじめの原因となることに着目した点は、高く評価できます。
      ・「児童個人の問題であり、先生や学校が関与できない家の中で解決するものだ」とありますが、その理由が分かりません。学校の指示に従わせるわけですから、学校が関与することは、当然ではないですか?
      ・もう少し話を「教育」にまで広げましょうよ。「生徒の失策に関しては、単に晒して改善を促すよりも、保護者とよく話し合うことで改善を促すべきなのだ。すなわち『しつけ』も教育なのだ」みたいな感じに。
      ◎ 評価は70%です。