実践「ニュース小論文」第26回答案紹介・講評
今回は、映像による解説講義です。
やはり情報量が格段に上がります。
ぜひご受講ください。
課題、答案の原文は下記の通り。
以下のニュースを読み、190字以上200字以内で問題点を指摘し、解決策を述べよ。
私立灘中学校が採択した歴史教科書を巡り、自民党の盛山正仁・衆院議員や和田有一朗・兵庫県議が同校に「なぜ採択したのか」などと問い合わせていたことが2017年8月3日、分かった。インターネット上でも「政治圧力ではないか」と問題視する声が上がっている。
同校が採択したのは、「学び舎」の歴史教科書「ともに学ぶ人間の歴史」。教科書は現役教員やOBらが執筆し、他社で記述がない慰安婦問題に言及。1993年に河野洋平官房長官が元慰安婦へのおわびと反省を表明した「河野談話」を載せ、併せて「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような資料は発見されていない」と現在の政府見解も取り上げている。
県教育委員会などによると、同校は2016年度から同社の歴史教科書を使用。同教科書を使っているのは県内では同校だけという。同委員会義務教育課は「教科書の使用は適正に行われている」としている。
同校の和田孫博校長が昨年、同人誌に寄稿した「謂れのない圧力の中で」と題した文章で「自民党の一県会議員から『なぜあの教科書を採用したのか』と詰問された」「本校出身の自民党衆議院議員から電話がかかり、『政府筋からの問い合わせなのだが』と断った上で同様の質問を投げかけてきた」と明かした。
また、採択を批判する「文面が全く同一」のはがきが200通以上届いたといい、和田校長は「はがきはすでにやんだが、圧力を感じた」と振り返る。現在も和田校長の文書がネット上で引用され、論争となっている。
盛山、和田両議員は神戸新聞社の取材に、批判のはがきとの関連を否定。その上で、盛山議員は「灘中の教科書について、OBとして周囲から疑問の声を聞いたので、校長に伝えただけだ」と強調。「『政府筋からの問い合わせ』と言った覚えは全くない」とする。
和田議員も会合で校長に採択理由を尋ねたことを認め、「私個人は学び舎の歴史教科書に疑問があり、さまざまな会合で口にしている」と主張。「私立学校の特色ある教育は理解しており、圧力などではない」と話している。
《 神戸新聞 2017年8月4日(金) 8時58分 配信 》
[1]
教科書についての疑問を聞くことは、悪いことではない。確かに圧力がかかるような聞き方は良くないが、学校側が事前に対応していればこのような問題は起こらないはずだ。採択したときに、選んだ理由を学校のホームページに載せるなどの対応をすることが必要だ。そうすれば、この問題は解決できるはずだ。しかし最近は本当に、政治家の暴言、失言が問題になる。政治家は自分の立場を理解して行動や発言をするべきだ。
(193字)
[2]
私立学校の教育に、政府が介入するのはあってはならないと感じる。最近、同じようなケースで加計学園が取り上げられているが、国が民間企業に指摘を入れるのは憲法や法律で違反があるときだけで良いはずだ。そうでなくては、民間企業もそれぞれの長所を伸ばすことができないと考える。国はあくまでも、民間企業や自治体を監視する大事であり、他が何をしているのかよりも、国民をどう豊かにするのか自分のことを議論すべきだ。
(198字)
[3]
問題点は、現在の政府が慰安婦問題をもみ消している点である。なぜなら、今回の政治圧力も以前の官房長官の見解との矛盾に起因するからだ。元慰安婦だと主張する人々がいながら、それを認めないのは間違っている。だから、政府が誠意を持ってきちんと謝罪することが一番の解決策だ。また日本は被爆等の戦争被害ばかりを強調しているように思われる。慰安婦問題など喜ばしくない歴史であっても、教育として教科書に記載するべきだ。
(200字)
[4]
この問題点は、和田議員が私的な意見から中学に圧力をかけたところだ。この解決策は、教科書の製作は自由にさせていいはずだ。確かにあまりにも間違った内容を載せるのは良く無いが、教科書の内容の製作にあたってはそれなりに自由にさせても良いはずだ。そうでないと「表現の自由」を損なわれてしまい、戦前の日本の言論統制と同じになってしまい様々な意見をこの日本で聞けなくなってしまいかねないからだ。
(190字)
[5]
このようなニュースが「神戸新聞」という地方紙にしか掲載されていない点が問題である。議員が検定済教科書採択に疑問を提示した行為は圧力と捉えられても仕方ない。それにもかかわらず、地方新聞でしかニュースになっていない。「報道の自由度ランキング」というサイトで日本は180カ国中72位であり、G7で最下位であることもうなずける。この状況の解決策は、世界で活躍するジャーナリストを日本のマスコミが雇うべきだ。
(195字)