第5回 国語の勉強法・⑤地道に品詞分解することが古文攻略の近道
前回は、古文の勉強法として、助動詞のマスターが最初の目標になるということをお話しました。古文は、単語も含め「②覚える」ことが多いですが、日々の努力で少しずつ積み重ねていってください。
さて、今回は「①理解する」と「③使いこなす」の部分についてお話したいと思います。古文において、「①理解する」にあたるのが品詞分解です。そして、これなしに「③使いこなす」にあたる内容の読み取りに進むことはできません。それほどまでに古文では品詞分解が重要なのです。
品詞分解の重要性については、前回の記事でもその一端をお話していました。品詞分解が必要とされるのは主に助動詞です。というのは、助動詞は活用すると形を変えるので、判別しなければならない場合が多々あるからです。前回は「ぬ」(完了「ぬ」終止形/打消し「ず」連体形)を例に挙げましたが、今回は「らむ」を取り上げましょう。
文中に「らむ」が出てきたからといって、100%現在推量の「らむ」であるというわけではありません。例えば、「走らむ」はどうでしょうか? 動詞「走る」の未然形に「む」が付いた形です(「む」の意味は主語や文脈から判断することになります)。同様に、「あらむ」も動詞「あり」の未然形に「む」が付いた形で、四段活用とラ行変格活用では未然形の活用語尾に「ら」が出てきますので、「(走)ら/む」と品詞分解する必要があります。
では、「花咲けらむ」という文ではどうでしょうか? 「咲け」は四段活用の動詞「咲く」の已然形です。だとすれば、四段活用の已然形に接続する「ら」は……と考えれば、完了・存続の助動詞「り」の未然形であると判別できますね。それに「む」が付いた形です。つまり、「花/咲け/ら/め」と品詞分解できて、「花は咲いているだろう」と解釈できます(ここでの「む」は主語が三人称の「花」ですので推量です)。
現在推量の助動詞「らむ」は、終止形接続です。裏を返せば、終止形接続でなければ、現在推量の助動詞「らむ」ではありません。こうしたことを、品詞分解によって一つ一つ判別していく必要があるわけで、だからこそ、品詞分解は重要なのです(もちろん、活用形と接続を覚えていることが前提ですので、スラスラ言えるまで繰り返しましょう)。
学校の授業などで先生に「きちんと品詞分解しながら読みなさい」と言われても、面倒くさいと感じているかもしれません。しかし、先生がそのように口を酸っぱくして言うのには理由があります。品詞分解をせずに、文の意味を確定することはできないのです。そして、品詞分解できれば、古文は読めたも同然です。ですので、地道に品詞分解する作業をこなしていってください。それこそが古文攻略の近道です。