第6回 現代文の勉強・①どうやって筆者の〈言いたいこと〉に線を引くか?
前回まで5回にわたり、国語の勉強法について総論を述べてきました。国語に限らずどんな科目でも、勉強は「①理解する」「②覚える」「③使いこなす」の3つの要素から成り立っています。勉強中にも、いま自分がしているのはどれに当たるのかということを意識するようにしてください。そうすることで、いましていることの意味や、次に何をすべきかということが明確になって、勉強の効率が上がるはずです。
今回からは現代文の勉強法についてより詳しくお話したいと思います。
さて、皆さんは学校や塾・予備校の先生から、「筆者の〈言いたいこと〉に線を引きながら読みなさい」と何度も言われてきたのではないでしょうか? そして、心の中でこういうふうに反発してきた人も多いと思います。「でも、〈言いたいこと〉がどこなのか分からないんです。教えてください」と。
現代文が苦手な生徒を見ていると、2つのタイプに分かれます。1つめは、文章とにらめっこするだけで全く線が引けないタイプ。2つめは、文章のほとんど全部に線を引いてしまうタイプです。対照的な両者ですが、共通していることがあります。それは、文章を最初から最後まで同じ密度・同じテンポで読んでしまっていて、内容的な濃淡が見極められていない、ということです。
筆者は文章全体を〈言いたいこと〉で埋め尽くしているわけではありません。そんな書き方をしたら、読者がついてこれなくなることを、ちゃんと分かっています。そこで、具体例を用いてかみくだいて説明したり、対立する意見を示して主張を際立たせたりします。このようにして、文章には内容的な濃淡が生じているのです。
筆者の〈言いたいこと〉は、もちろん濃い部分にあります。ですから、文章の濃淡を見極めて、濃い部分に線を引いていけばよいのです。
では、どうすれば文章の内容的な濃淡を見極めることができるでしょうか? ここで、第90回の記事で、現代文とは突き詰めると「日本語の運用のしかた」を問う科目であると述べたことを思い起こしてください。ふだん私たちは何気なく、「つまり」と言ってから要点をまとめたり、「~ではなく」と否定してから意見を述べたりしますよね。それが、「日本語の運用のしかた」ということです。そして、現代文を読む際にはそれを意識しながら文章の濃淡を見極め、筆者の〈言いたいところ〉に線を引いていってほしいのです。
ですが、そうした「日本語の運用のしかた」を教わってきていない人がほとんどでしょう。そこで、まずは『新・ゴロゴ現代文〈基礎~必修編〉』の冒頭に掲載されている「攻略アイテム10」にしたがって、文章に記号を書き込んでいってください。この「攻略アイテム10」は、「日本語の運用のしかた」に基いて作られたものです。ですから、このとおりに手を動かしていけば、自然と「日本語の運用のしかた」が身につきます。
次回は、「攻略アイテム10」について、さらに掘り下げて見ていきましょう。