●赤本の役割は?→「情報源」「問題集」という二つの役割がある!

○情報源としての赤本活用
→赤本を早く使ってきた人ほど現役で受かっている!
合格最低点という課題を設定して、その課題を達成するための情報を過去問から引き出して戦術を作成する。

○問題集としての赤本活用
→赤本は、傾向も難易度も出題パターンも、志望校と「そっくり」の問題ばかりを集めた志望校専用の問題集である。

第一章「志望校を決める」編

●志望校の選び方
×「模試の結果と偏差値ランキングをみて志望校を決める」→自分の可能性をみずから閉ざしている!
自分の持ち味を最大限に活かせば、1、2ランク上の大学に受かることも夢ではない!

○得意科目を活かす
①配点を見る
英語が得意なら、英語の配点が高い大学を狙う。国語と選択科目が得意な場合は、なるべく英語と同じ配点の大学学部を狙う。

②難易度を活かす
得意科目の場合は問題が難しいほうが有利である。例えば国語が得意な人は、国語が難しい大学と相性がいい。

○苦手科目を殺す
①苦手科目がやさしめの問題をだす大学・学部を狙う。得意な人と差がつきにくいから。
②難度がケタはずれに高い問題が出た場合も、得意な人でもそうそう得点できず、結果的に苦手な人と差がつきにくい。たとえば、東大の数学は難しいので文系であれば完答0でも他の科目でカバーすれば合格できる。

●難度の把握をする方法
「各大学の入試問題の難度を把握すること」=自分の特徴を生かせる志望校を探すときに役立つ。第一志望校を決めた後、具体的な志望校戦術や勉強方法を考えるときに必要になる重要情報源の一つである。

○どうやって把握するか?
自分で解いてみるのがいいように思えるが、半年前、一年前のまだ実力がついていない状態では、過去問を解いても全部難しく感じて、客観的な難度を測定することができない。そこで、「赤本」をフル活用する。赤本冒頭の「傾向と対策」にある科目別の「出題形式」「出題内容」「難易度」などの項目は難易度を知る手がかりとしてはかなり参考になる。ただ、難易度は抽象的に書かれていてわかりにくいこともある。その場合は各年度の問題のうしろにある解説ページに飛ぶと、解説の最後に「講評」という欄があることが多く、その年度の問題を全体的に眺めて、内容や傾向、難易度の推移についてのコメントが記されているので、参考にすることができる。

●国公立か私立か、選択の方法
志望校が決まっていない人はなるべく早めに国公立志望でいくのか、私立専願で勝負をかけるのか、決断したほうがいい。中途半端な国公立志向のままダラダラと一年間受験勉強を続けることは、百害あって一利なし!

○その理由
例えば文系の国公立志望なら、センター試験の数学や理科など、私大には必要のない科目にも時間をとられることになる。これらの科目が苦手であればあるだけ、余計に時間をとられて、本来伸ばすべき英語や国語や選択科目などに十分な時間を回せなくなる。結果的に、英語の伸びは目立ったほどではなく、数学や理科も思うように伸びず、年明けにあわてて志望校を私大に変更する人が多い! そうなった場合、現実的に狙える私大はせいぜい中堅私大以下。英語がある程度のレベルまで伸びなければ、早慶をはじめとする難関私大には太刀打ちできない。

○選択の方法→センター試験の過去問を解いて判断する
現時点(5ヶ月前を想定)での英語と数学の仕上がり程度をセンター試験の過去問を解いて判断する。英語と数学の仕上がりが悪ければ(英語60%、数学50~60%程度)、これから先もこの二教科にかなり時間をつぎ込む必要があり、国語や地歴公民や理科に時間をまわす余裕がなくなる。

○チェックの方法
数学Ⅱ・Bが終わっている人(浪人生や進学校の生徒)は、英語+数学Ⅰ・A+数学Ⅱ・B(合計400点満点)、進度が遅い現役生は、英語+数学Ⅰ・A(合計300点満点)のトータルの得点を考える。センター試験も年によって難易度に差があるので、最新3年分を解いて平均値を出す。夏8月時期に、志望大学合格点の10%程度下であれば、合格は十分可能だが、20%以上低いとかなり厳しい(例えば旧帝大クラスで合格点85%とすると、8月時には75%以上の得点がほしい。地方国公立大であれば、65%程度が目安になる。詳しい合格点は各予備校などが発表しているデータを必ず参照すること)。

●国語力の生かし方(文系受験生)

○現代文が得意なら、偏差値15超の大学も視野に入れる!
  現代文のセンスがある人は、特別な対策なしにある程度の得点をたたき出してしまう。そのまま放っておくのはもったいない。さらに大学別の対策を立てれば「鬼に金棒」。例えば東大や早稲田は、現代文の難度が高いので、他の受験生に大きな差をつけることができる。国語を大きな得点源にして、偏差値15以上の大学を狙うことも可能だ。
現代文のセンスを判定するには、センター試験ではなく、国公立大なら東大、私立大なら早稲田の商学部、教育学部の過去問を解いてみる。東大は正答率が70%以上、早稲田なら正答率80%以上が合格点で、この得点が夏の時点で取れればかなり自信をもっていいだろう。古文は大学・学部によって難易度やウエイトがかなり違うので、まず現代文の相性を判定すること。

○現代文が苦手なら、古文(漢文)で勝負!
  現代文が苦手な場合は、確実に得点できる古文・漢文で勝負することになる。理系受験生でも、センターレベルの古文・漢文ならば短期間である程度得点を伸ばすことが可能だ。特に「漢文」はセンターではもっとも得点率の高い科目であり、2~3ヶ月の勉強で満点を取ることができる。文系受験生はセンター漢文は満点を狙って欲しい。センター古文は難易度が高いが、文法・単語を勉強し、問題集とセンターの過去問をやりこめば70%以上の得点はとれる。
  私立大の場合は中堅大学までであれば、文法と単語だけでもきちんと勉強すれば古文は満点も可能。
逆に言えば、古文が難しく、得点差が付く大学の場合、古文を得意科目にすることで現代文での失点はカバーできる。

●対策効率を調べる

○受験勉強は「幅広い学力をつける」ことではない!
試験に出ないことは、たとえ教科書に太字で書かれていても覚える必要はない。たとえば数学で「平面幾何」や「確率・統計」がでないことがはっきりしているなら、その単元はいっさい勉強する必要はない。選択科目でも、日本史・世界史での過去の出題分野を見て、受験大学が近現代重視ならば、そこに絞った勉強をするなどムダを省いた受験勉強によって、より上位の大学に受かるチャンスを拡大する。

●数学で戦う私大文系

○数学が苦手でない文系生は難関大学へチャレンジ!
数学は、選択科目ほど膨大な知識を暗記する必要がなく、解法パターンをストックしておけば、基本から標準レベルの入試問題なら、高得点をラクに叩きだせるのだ。

○数学選択の文系受験生を大学側が優遇する傾向
  難関私大は、地歴公民で重箱の隅をつつくような難問を出してくるが、数学は比較的素直な標準問題が中心で、できる人には相対的に数学選択のほうがおいしく感じられるはずである。特に高2まで理系にいて「文転」した人にとっては、私大文系の数学受験はおいしい。

○文系受験生で数学受験する場合
文系受験生で、数学受験を考えてみたい人は、まずセンターの過去問を解いてみて、半年前の段階で8割以上取れるようなら、十分にねらい目である。

●情報の集約化
赤本で調べたことを、大学・学部別に項目ごとに整理してカードに書き込む。具体的に調べる項目は、「受験科目・難易度・おおまかな傾向・配点・合格最低点など」受けてみたい大学はすべてカード化すべし! 
それらの大学のカードを並べて比較検討する。いちばん魅力を感じる大学や学部があれば、自然にそこが第一志望校になるだろう。しかし、そうでない場合は、自分の得意・不得意などの持ち味を生かせるところ、入試傾向の観点から、もっとも自分との相性のいい大学を選んだほうが、逆転合格の確率は高まるのだ。特に私大の場合は偏差値よりも相性で合否が決まる傾向が強く、偏差値なら10程度は無視して考えてもよい。

●第一志望が決まったら、併願校を選び出す!
 併願校は「第一志望の対策だけをやっておけば、そのまま併願校対策も兼ねられる」こと! 受験科目、入試傾向、問題の難易度などが第一志望校に近い併願校を選び出しておけば、併願校対策のために特別なことをしないですむのだ。併願校だけに必要な対策にはできるだけ時間をかけない。とにかく無駄なことは一切やらず、そのかわり、いまの実力ではムリだと思うような大学でも、残り少ない時間を最大限にうまく使って、なんとかギリギリ間に合わせて合格するのだ。