前回まで、「攻略アイテム10」に基づく入試現代文の解き方について解説してきました。端的に言うと、現代文とは〈日本語の運用のしかた〉を問う科目です。日本語には、「ではなく」と否定した後で言いたいことを述べたり、幅の広い指示語である「このように」などを具体的な内容をまとめたりといった、リズムとも言うべき運用のしかたがあります。

「攻略アイテム10」は、その〈日本語の運用のしかた〉に基づいているのですから、どんな問題にも通用して当然です。記事では「Aとは構文」「要約・言い換えの接続語」など頻度の高いもののみ取り上げましたので、その他の解法については、『新ゴロゴ現代文〈基礎~必修編〉〈共通テスト編〉を用いてマスターしてください。

さて、今回からは現代文における語彙の学習についてお話していきたいと思います。英語で英単語を覚えるように、また、古文で古文単語を覚えるように、現代文においても、とりわけ評論文で用いられる単語を覚える必要があります。

現代文は英語や古文と違って、私たちがふだんの生活で用いる日本語で書かれています。それにもかかわらず、語彙の学習をする必要があるのはなぜでしょうか? それは、ふだんの生活では用いない言葉が使われていたり、用いているとしても違う意味で用いていたりするからです。

たとえば、これまで記事では「抽象」という語をたびたび用いてきました。家族や友人との会話で「抽象」と言うことはほとんどないでしょう。あるいは、用いたとしても、〈あいまいな〉という意味で使うかもしれません。

しかし、「抽象」は評論文において頻出する語です(なお、学術用語という意味で「術語」と言います)。しかも、その際には〈あいまいな〉という意味では用いられません。要約・言い換えの接続語について解説する際にも述べましたが、「抽象」とは、〈具体的なものから共通する要素を取り出して、頭の中でまとめること〉です。それゆえ、対比される「具体」との関係を押さえることが読解上のポイントとなります。

評論文を読んでいて、日本語を読んでいるのに、日本語ではないような感覚に襲われることはないでしょうか? それは、評論文ではふだんの生活では用いない術語が使われているからです。そして、そのような語が出てきて意味が分からないと、途端に思考停止状態に陥ってしまいます。〈日本語の運用のしかた〉が問われているだけなのに、難解な術語が邪魔をして、それが見えなくなってしまうのです。

ですから、〈日本語の運用のしかた〉と語彙は、現代文の学習における両輪と言えるでしょう。「攻略アイテム10」に基づく解法のマスターと並行して、『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』を活用して語彙の学習を進めてください。

次回は、具体的な語彙の学習法についてお話したいと思います。