前回は、語彙の効率的な学習法として、対義語をペアにして覚えるという話をしました
。「具体」と「抽象」、「現象」と「本質」のように、対義語には重要語が目白押しです
ので、まずはペアをしっかりと覚えること、そのうえで、2つの語がどのように対比され
るのか、意味の違いを理解してください。
 ところで、言葉どうしというのは、対義語だけではなく、同義(同じ意味であること
)・包含(ある語の中に別の語が含まれること)のようにさまざまな関係があります。そ
して、その関係に注目すると、言葉の全体像を捉えることができ、それぞれの言葉の理解
もより深まります。
 例えば、次の問題を考えてみてください。
〈例題〉次の6つの語を、意味によって3語ずつ2組に分けよ。
  普遍 特殊 主観 客観 絶対 相対
 どれも評論文では頻出の重要語ですね。そして、「普遍」と「特殊」、「絶対」と「相
対」、「主観」と「客観」と、3組の対義語になっています。まずは意味を確認しましょ
う。
・普遍:すべてのものに共通して成り立つこと
・特殊:特定の事物にのみあてはまること
・主観:その人だけの物の見方
・客観:誰にでも共通する物の見方
・絶対:他から独立して存在していること
・相対:他との関係において成り立っていること
 これらのペアを、3語ずつ2組に分け直すとどうなるでしょうか?
 まず、「普遍」と「客観」がともに「共通」という意味を含みますね。すべてのものに
共通する(普遍)ということは、物の見方も共通する(客観)ということになります。こ
れに対し、特定の事物にのみあてはまる「特殊」は、その人だけの「主観」にすぎません
。よって、「普遍-客観」という組と「特殊-主観」という組ができました。
 これに、「絶対」と「相対」を仲間に加えるとすると、どうなりますか? 「特殊」な
ものや「主観」的な見方というのは、それ一つだけではなく、横並びしているわけですか
ら、他との関係がある「相対」ですよね。一方、すべてのものに共通する「普遍」や誰に
でも共通する「客観」的な見方は、他のものがありませんので「絶対」です。こうして
、「普遍-客観-絶対」という組と、「特殊-主観-相対」という組が完成しました。
(以上の3つの対義語については、『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』の、第1章重要語
4~6で解説していますので、よく読んで理解を確かなものとしてください)
 言葉というのは、他の語から独立して「絶対」的にあるのではなく、他の語との関係に
おいて意味の決まる「相対」的なものです。そして、文章というのは言葉と言葉を紡ぐこ
とで織りなされるわけですから、言葉どうしの関係を理解することは、文章を理解するこ
とにもつながります。ですから、そうした関係に注目しながら語彙の学習を進めてくださ
い。
 次回は漢字の意味に注目した語彙の学習法についてお話します。