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第122回 共通テストの傾向と対策・③共通テスト小説は客観的に根拠を探し出して解く

 前回は、共通テスト評論の解き方についてお話ししました。複数のテクストや図表を用
いるなど見かけ上の変化はありますが、傍線部の前後の読みを問うという基本的な部分は
センター試験から変わっていません。指示語の受ける内容を押さえるなど当たり前の解き
方が当たり前にできるように、過去問で演習を積み重ねてください。
 さて、今回は小説についてお話しています。共通テスト小説でも評論と同様に変化が見
られます。しかし、解き方自体はセンター試験と同じです。
 評論が筆者の主張を読み取るのに対し、小説は登場人物の心情を読み取ります。しかし
、筆者は嬉しい・悲しいなどとあからさまに心情を表現したりしません。言葉や、表情・
しぐさなどから読者に心情を読み取らせようとします。小説の問題で問われるのはまさに
そこです。登場人物の心情を勝手に推測するのではなく、本文から心情を推理しうる要素
を客観的に拾い集めて、それを根拠に解くようにしてください。
 例えば、共通テスト初年度の2021年度には次のような問題が出題されました。

〈例題〉
 傍線部A「擽ぐられるような思」とあるが、それはどのような気持ちか。その説明として
最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

① 自分たちの結婚に際して羽織を新調したと思い込んで発言している妻に対する、笑い
出したいような気持ち。
② 上等な羽織を持っていることを自慢に思いつつ、妻に事実を知られた場合を想像して
、不安になっている気持ち。
③ 妻に羽織をほめられたうれしさと、本当のことを告げていない後ろめたさとが入り混
じった、落ち着かない気持ち。
④ 妻が自分の服装に関心を寄せてくれることをうれしく感じつつも、羽織だけほめるこ
とを物足りなく思う気持ち。
⑤ 羽織はW君からもらったものだと妻に打ち明けてみたい衝動と、自分を侮っている妻
への不満とがせめぎ合う気持ち。

 動詞の「擽(くすぐ)る」を形容詞化した「くすぐったい」は、くすぐられてなんだか
落ち着かない、気恥ずかしくてむずむずした感じを表わします。傍線部Aは、私が妻から
羽織を褒められた場面にありました。「ほんとにいい羽織ですこと」などと褒められるの
はもちろん嬉しい。しかし、その羽織はW君からもらったもので、そのことを妻には告げ
ていませんでした。だから、褒められてもくすぐったい、そわそわした感じがしたのでし
た。
 選択肢を見ると、いま見た本文の状況と、「擽られるような」という比喩表現の意味を
的確に説明しているのは、③の「落ち着かない」しかありません。
 このように、小説が登場人物の心情を読み取る文章である以上は、共通テストに移行し
たからと言って、特別に新しい解法が求められるわけではないのです。
 さて、いま取り上げた問題には、〈アンビバレントな心情〉という小説では必須の要素
が含まれており、問題を解く際に絶大な力を発揮します。次回はこの点についてお話した
いと思います。

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第121回 共通テストの傾向と対策・②指示語がポイントであることは共通テスト現代文 でも変わらない

 前回は共通テストの傾向と対策について、総論をお話しました。共通テストでは、文章
を資料を用いた思考力を重視する新傾向の問題が増加していますが、センター試験を踏襲
した基礎力を重視する従来型の問題も一定数出題されています。ですから、センターの過
去問も活用して、基本事項の徹底を図ってください。
 今回からは、現代文に絞って傾向と対策を解説していきたいと思います。まずは評論文
です。共通テストに移行して、2つの文章が並べられたり、視覚資料が用いられたりとい
った、センター試験にはなかった出題が見られます。ですが、見かけは変わっても、問わ
れている内容は大きく変わっていません。文と文のつながりを踏まえて、筆者の言いたい
ことを捉えることが、求められているのです。
 例えば、共通テスト初年度の2021年度には、次のような問題が出題されました。
〈例題〉
 妖怪はそもそも、日常的理解を超えた不可思議な現象に意味を与えようとする民俗的な
心意から生まれたものであった。……このような言わば意味論的な危機に対して、それを
なんとか意味の体系のなかに回収するために生み出された文化的装置が「妖怪」だった。
それは人間が秩序ある意味世界のなかでいきていくうえでの必要性から生み出されたもの
であり、それゆえに切実なリアリティをともなっていた。A民間伝承としての妖怪とは、
そうした存在だったのである。
問 傍線部A「民間伝承としての妖怪」とは、どのような存在か。その説明として最も適
当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 人間の理解を超えた不可思議な現象に意味を与え日常生活のなかに導き入れる存在。
② 通常の認識や予見が無効となる現象をフィクションの領域においてとらえなおす存在

③ 目の前の出来事から予測される未来への不安を意味の体系のなかで認識させる存在。
④ 日常的な因果関係にもとづく意味の体系のリアリティを改めて人間に気づかせる存在

⑤ 通常の因果関係の理解では説明できない意味論的な危機を人間の心に生み出す存在。
 傍線部の直後にある〈幅広い指示語〉の「そうした」がポイントです。傍線部内やその
前後に指示語がある場合は、その受ける内容を確認するというのが鉄則でした。「そうし
た」は傍線部Aの前の内容を受けています。ですから、「人間の理解を超えた不可思議な
現象に意味を与え」とある①がズバリ正解と判定できます。
 指示語の内容を押さえるというのは、文章読解の基本中の基本です。それを共通テスト
はセンターから変わらず問うています。ですので、新しい出題形式という見かけにとらわ
れずに、しっかりと読んで解くということを心がけてください。
 次回は小説についてお話します。

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第120回 共通テストの傾向と対策・①従来型と新傾向型の両面の対策を

 今回から、本番まで2カ月を切った共通テストの傾向と対策についてお話していきたい
と思います。今回はまず共通テスト全般の総論です。2021年度から始まった共通テストは
、今年で3回目でしたが、だいぶ方向性が見えてきたと言えるでしょう。各科目とも、問
題は次の2つのタイプに分類されます。
1-従来型:センター試験を踏襲した問題(基礎力重視)
2-新傾向型:文章や資料を用いた問題(思考力重視)
 従来のセンター試験は、一次試験として必要最低限の知識を問うという観点から、各科
目とも単純に知識や公式の適用を問う問題が中心でした。一方で、新学習指導要領で掲げ
られた「思考力・判断力・表現力」を問うべく開始された共通テストでは、文章や資料を
与え、それを材料に受験生に考えさせる問題が数多く出題されるようになりました。
 しかし、だからといって全ての問題がこのような新傾向型の問題になったわけではあり
ません。共通テスト初年度の2021年度には半数近く、2年目の2022年度は4割近くが知識を
問う従来型の問題でした。出題する大学入試センターとしては、少しずつ従来型の問題を
減らしていき、ゆくゆくは新傾向型の問題で固める意向と思われますが(実際に開始に先
立って行われた試行調査では、大半が新傾向型でした)、当面は従来型の問題が一定の割
合を占めると考えられます。ですから、各科目とも基本事項の徹底が重要です。
 また、新傾向型の問題も、何の予備知識がなくても与えられた文章や資料が読めるとい
うわけではありません。各科目で学習した内容と重ね合わせることで、文章や資料の意味
するところが分かる、というような問題の作りになっています。基礎力を重視する姿勢は
センター試験から変わっていないのです。
 ですから、共通テスト対策としては、目先の新傾向型の問題ばかり取り組むのではなく
、各科目の基本となる部分をしっかりと固めることが先決です。そのときに活用してほし
いのが、センター試験の過去問です。センター試験は必要最低限の知識を問う問題として
非常によくできています。まずはセンター試験の過去問で基本事項をしっかりと固めたう
えで、共通テストに進んでいくというのが効果的でしょう。
 次回は現代文の傾向と対策についてお話します。

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第119回 現代文テーマの学習法③・「近代」はすべての評論文に関わるテーマ

 前回は、評論文における頻出テーマとして特に重要な「言語論」について解説しました
。言葉とは、私たちが持つ理性によってこの世界にある事物を抽象化し、自ら作り出して
いくものです。こうした考え方の大枠を理解することで、どんな文章が出題されても読み
こなせるようにしてください。
 さて、今回は「言語論」と並んで何よりも先に理解しておきたい「近代」について解説
したいと思います。「近代」は、すべての評論文に関わると言っても過言ではないほど重
要であり、本文じたいに「近代」の語が用いられていなくとも、「近代」に対する見方・
考え方が下敷きになっています。言わば「テーマのテーマ」とも言えるのが「近代」です
ので、きちんと大枠をつかんでおきましょう。
 「近代」とは、個人が神の束縛から解放され、自由を手に入れた時代です。中世ヨーロ
ッパでは、人々は唯一絶対なる神の下に置かれていました。人間は自然界の万物と同じく
神の被造物であり、神の意思によって運命づけられていると考えられていたのです。
 そこに変化をもたらしたのが、ヨーロッパで14~16世紀に展開されたルネサンスと宗教
改革の動きです。ルネサンスは、古代ギリシアやローマの文芸復興を目指す運動で、その
中から人間性を尊重する精神(ヒューマニズム)が芽生えます。一方、宗教改革は、教会
の権威から自由になって、神を信じるという個人の内面的な信仰を重んじようという運動
でした。両者は、「個人の自由」という点で共通しています。こうして、神の下に置かれ
た「中世」から、個人が自由に活動する「近代」へと、時代が切り開かれたのです。
 神の束縛から解放されて、自由を手に入れた「近代」という時代は、個人にとって幸せ
な時代であるように思えます。たしかに、人類は自らがもつ理性を十分に発揮することで
、科学を発達させ、物質的な豊かさを実現しました。自由を得た個人は、国王による支配
をも打ち破り、自分たちのことは自分で決める民主主義を勝ち取りました。
 しかし一方で、近代科学と結ついて発達したテクノロジーは自然破壊の問題を生じさせ
ています。また、自由を得たはずの現代人は内面に巣食うエゴイズムに苦しんでいます(
それを作品で描き続けたのが夏目漱石です)。
 そうです、「近代」を原因とするさまざまな問題が現代の社会では噴出しており、だか
らこそ「近代」は評論文で問われ続けるのです。この先の深堀りした内容は『新ゴロゴ現
代文〈語彙・テーマ〉』で勉強してください。評論文で書かれている内容がより深く理解
できるようになるでしょう。
 次回からは、本番まで2カ月近くに迫った共通テスト対策についてお話していきたいと
思います。

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第118回 現代文テーマの学習法②・言語論を知ることで言葉に対する理解が深まる。

 前回は、入試現代文における頻出テーマの学習の必要性についてお話しました。評論文で論じられている内容というのは、私たちが日常で友人や家族と話すこととは違います。「身体」「日本(文化)」など、くり返し出題されている頻出テーマに関する知識を蓄えることで、どんな文章であってもムラなく読みこなせる力をつけてください。
 さて、今回と次回は、頻出テーマの中でも特に重要な、「言語論」と「近代」について、その大きな枠組みについてお話したいと思います。この2つのテーマを選ぶのは、これらがその他のテーマでも下敷きとなっているような、より本質的な内容が論じられているからです。『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』においても、第2章の基本テーマ10で紙幅を費やして説明していますので、理解を深めてください。
 今回解説するのは「言語論」です。私たちはどのようにして言葉を覚えてきたでしょうか? 赤ん坊に対して、お母さんが家で飼っているネコを指差して、「ニャンニャンだよ」と教えたとします。そのとき、赤ん坊は指差された対象だけが「ニャンニャン」と呼ばれるものだと考えるだけで、他に「ニャンニャン」がいることを知りません。「ニャンニャン」という名前と対象とが一対一で対応する、記号に留まっている段階です。
 その後、ベビーカーに乗せられてお散歩に行った際、お母さんが壁の上を歩くネコを指差して「ニャンニャンだね」と言い、屋根の上でお昼寝するネコも指差して「あそこにもニャンニャンがいるよ」と言ったとしましょう。すると、赤ん坊は少しの戸惑いを覚えたのちに、この世界には「ニャンニャン」とひとまとまりで呼ばれるグループがあることを理解します。
 このとき、赤ん坊が頭の中で行っているのは、家の中で見た対象、そしてお散歩の途中で見た2つの対象の共通点を取り出すこと、つまり「抽象化」です。そして、その共通するものが「ニャンニャン」という名で呼ばれることを理解するのです。そう考えると、「ニャンニャン」という言葉じたいを教えたのはお母さんであっても、「ニャンニャン」の意味するところは赤ん坊自身の力で理解したと言えます。私たちに等しく具わる、物事を認識する能力のことを「理性」といいます。つまり、言葉とは私たちの理性によって生み出されたものに他ならないのです。実際、ギリシア語では「言葉」も「理性」も同じく「ロゴス」の語で表します。
 このように、言語論の大枠を知ることで、言葉に対する理解はぐっと深まります。そして、それは読解力にもつながっていくでしょう。
 次回は、もう一つの重要テーマである「近代」についてお話したいと思います。

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第117回 現代文テーマの学習法①・頻出テーマを押さえて読みの精度を高める

 前回まで、現代文における語彙の学習法についてお話してきました。入試現代文、とりわけ評論文では、「抽象」「概念」といった、ふだんの生活では使わない言葉が用いられており、そうした言葉は関連しあって一つの世界を構成しています。対義語や同義語に留意しながら、一つ一つの言葉を丁寧に理解していってください。
 さて、今回からは評論文におけるテーマの話をしていきたいと思います。皆さんの中には、評論文の問題に取り組むにあたって、「読めるときは読めるのだけれども、読めないときには全く手も足も出ない」という悩みを抱えている方が、多いのではないでしょうか? それは、評論文で論じられているテーマというのは、ふだん友人や家族と話す内容ではないからです。友人と「近代」や「言語論」についておしゃべりするなどということはありませんよね。ですから、多少は知っているテーマについて書かれていれば分かるけれども、初めて聞くテーマだとからきしダメ、ということが起こるのです。
 こうした出来不出来のムラをなくすには、評論文で論じられる頻出テーマについて知識を蓄えておくことが肝心です。実は、入試現代文で出題される評論文には、くり返し出される頻出テーマというのが存在します。その理由は、第一に、出題する大学の先生に共通する知識のバックボーンがあるという点です。大学の先生であれば共有している知の体系があり、それに沿って文章は選ばれているのです。そして、理由の第二は、高校を卒業した受験生が読める程度の内容となると、かなり限定されるという点です。専門的で高度な学術論文から出題しても、受験生は誰もできないでしょう。
 先に挙げた「近代」や「言語論」について論じられた文章を、一度は読んだことがあると思います。こうしたテーマは、それらの理由で選ばれているのです。そして、頻出テーマとなっているのです。ですから、頻出テーマの知識を蓄えておけば、何が論じられているかが分かるので、読解の精度が高まりますし、なにより「何を言っているか分からない」ということがなくなります。
 『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』では、第1章の重要語10に続いて、第2章で10の基本テーマについて、第3章で10の発展テーマについて詳しく説明しています。基本テーマで扱われているのは「科学」「身体」など最重要の項目ばかりですから、まずはここをしっかりと理解しましょう。発展テーマでは「記号」「自由」など難関大で問われる内容を扱っていますので、さらに上を目指すためにチャレンジしてください。
 次回からは、「近代」などの頻出テーマが、具体的にどのように論じられているのかについてお話していきたいと思います。

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第115回 現代文の語彙の学習法・③言葉どうしの関係を理解する

 前回は、語彙の効率的な学習法として、対義語をペアにして覚えるという話をしました
。「具体」と「抽象」、「現象」と「本質」のように、対義語には重要語が目白押しです
ので、まずはペアをしっかりと覚えること、そのうえで、2つの語がどのように対比され
るのか、意味の違いを理解してください。
 ところで、言葉どうしというのは、対義語だけではなく、同義(同じ意味であること
)・包含(ある語の中に別の語が含まれること)のようにさまざまな関係があります。そ
して、その関係に注目すると、言葉の全体像を捉えることができ、それぞれの言葉の理解
もより深まります。
 例えば、次の問題を考えてみてください。
〈例題〉次の6つの語を、意味によって3語ずつ2組に分けよ。
  普遍 特殊 主観 客観 絶対 相対
 どれも評論文では頻出の重要語ですね。そして、「普遍」と「特殊」、「絶対」と「相
対」、「主観」と「客観」と、3組の対義語になっています。まずは意味を確認しましょ
う。
・普遍:すべてのものに共通して成り立つこと
・特殊:特定の事物にのみあてはまること
・主観:その人だけの物の見方
・客観:誰にでも共通する物の見方
・絶対:他から独立して存在していること
・相対:他との関係において成り立っていること
 これらのペアを、3語ずつ2組に分け直すとどうなるでしょうか?
 まず、「普遍」と「客観」がともに「共通」という意味を含みますね。すべてのものに
共通する(普遍)ということは、物の見方も共通する(客観)ということになります。こ
れに対し、特定の事物にのみあてはまる「特殊」は、その人だけの「主観」にすぎません
。よって、「普遍-客観」という組と「特殊-主観」という組ができました。
 これに、「絶対」と「相対」を仲間に加えるとすると、どうなりますか? 「特殊」な
ものや「主観」的な見方というのは、それ一つだけではなく、横並びしているわけですか
ら、他との関係がある「相対」ですよね。一方、すべてのものに共通する「普遍」や誰に
でも共通する「客観」的な見方は、他のものがありませんので「絶対」です。こうして
、「普遍-客観-絶対」という組と、「特殊-主観-相対」という組が完成しました。
(以上の3つの対義語については、『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』の、第1章重要語
4~6で解説していますので、よく読んで理解を確かなものとしてください)
 言葉というのは、他の語から独立して「絶対」的にあるのではなく、他の語との関係に
おいて意味の決まる「相対」的なものです。そして、文章というのは言葉と言葉を紡ぐこ
とで織りなされるわけですから、言葉どうしの関係を理解することは、文章を理解するこ
とにもつながります。ですから、そうした関係に注目しながら語彙の学習を進めてくださ
い。
 次回は漢字の意味に注目した語彙の学習法についてお話します。

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第114回 現代文の語彙の学習法・②対義語をペアにして覚える

 前回は、入試現代文における語彙の学習の必要性についてお話しました。評論文では
、「普遍」「概念」などふだんの生活では用いない術語が使用されています。ですから、
英単語や古文単語と同じように現代文でも語彙の習得が求められるのです。〈日本語の運
用のしかた〉に基づく読解力と、言葉の意味に強くなる語彙力が、現代文の両輪であると
考えて勉強に励んでください。
 それでは、どのようにして言葉を覚えていけば良いのでしょうか? 今回は、語彙の学
習のしかたについて説明したいと思います。
 言葉の意味を効率よく覚えていくために、まず最初に押さえてほしいのが、対義語です
。反対の意味を持つ語をセットにすることで、理解が深まりますし、何より実際に文章を
読んでいく際に大きな力を発揮します。
 例えば、現代文の読み方・解き方を解説してきたこれまでの記事で、「具体」「抽象」
の語をたびたび用いてきました。「具体」は〈目に見える形やものとして存在すること
〉、これに対して「抽象」は〈具体的なものから共通する要素を取り出して、頭の中でま
とめること〉です。両者は対義語の関係にあります。具体的なイワシ・サバ・マグロを抽
象化すると魚、具体的なジャガイモ・キャベツ・トマトを抽象化すると具体です。
 もちろん、評論文ではより高度な内容が論じられていますが、具体と抽象の関係に変わ
りはありません。文章は、具体と抽象のくり返しによって成り立っているのでした。そし
て、筆者の〈言いたいこと〉に関わるのは抽象の方です。具体がそのものしか指し示さな
いのに対し、抽象はさまざまなものをまとめて言うことができるからです。このように
、「具体」と「抽象」を対義語として押さえると、文章の構造が見えてきます。
 対義語としては、そのほかにも「普遍」「特殊」、「本質」「現象」など、評論文で頻
出の重要語が目白押しです。まずは、対義語のペアとして覚えるところからはじめましょ
う。というのも、文章の中に「普遍」と「特殊」の語が出てきても、それを知らなければ
対義語であることに気づかないからです。逆に、対義語であることが分かっていれば、そ
の2つの内容を対比させて読むことができます。
(ちなみに、「普遍」は〈すべてのものに共通して成り立つこと〉、「特殊」は〈特定の
事物にのみあてはまること〉です。「本質」「現象」は自分で調べてください。)
 『新ゴロゴ現代文〈語彙・テーマ〉』では、第4章で87組の対義語を整理しています。
現時点での自分の語彙力を診断するという意味でも、まずはここから着手してください。
 次回は、言葉どうしの関係に注目して覚えていく方法についてお話します。

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第112回 入試現代文の解法・⑭「日本語の運用のしかた」に基づくからどんな問題にも通用する

今回は、これまで見てきた「幅広い指示語」「AではなくB構文」「要約・言い換えの接続語」「Aとは構文」という、「攻略アイテム10」に基づく4つの解法公式についておさらいしたいと思います。

 

1‐幅広い指示語

指示語の中でも「このように」「そういう」といった〈幅広い指示語〉は、そこまで述べてきた具体的な内容をまとめて、次の論を展開していく働きをしています。ですので、段落の終わり、あるいは次の段落の冒頭にある〈幅広い指示語〉の後には筆者の「言いたいこと」が述べられていますので、確実にマーク・線引きしましょう。解答に直結します。

 

2‐AではなくB構文

対立する内容をいったん否定してから、「言いたいこと」を述べるというのは、日本語としての一つのリズムです。ですので、「~ではなく(ではない)」と否定した後の内容はプラスの価値観となります。「ではなく(ではない)」に波線を引いたうえで、その後の記述に線引きし、プラスのマークをつけましょう。これも解答に直結します。

 

3‐要約・言い換えの接続語

「つまり」「言い換えると」などの接続語の前後は、同じ内容が述べられています。ただし、具体→抽象の関係になっている場合と、抽象→具体の関係になっている場合とがありますので、しっかりと見極めてください。筆者の「言いたいこと」としてより重要なのは、抽象の方です。

 

4‐Aとは構文

「とは」は言葉の定義をする働きをします。筆者は論の展開に必要で定義をするのですから、定義された言葉は当然キーワードです。「Aとは」のAにあたる語句をマルで囲み、プラスのマークを付けましょう。それとともに、「とは」の後に書かれている説明の部分にも線引きをして、内容をしっかりと押さえましょう。

 

これらの解法公式は、共通テストの選択問題から国公立二次の選択問題まで、どんな問題にも通用します。それはこれまでずっと述べてきたように、「日本語の運用のしかた」に基づくからです。「攻略アイテム10」は、「日本語の運用のしかた」に基づいて、文章の濃淡を〈見える化〉するものでした。

ですので、まずは「攻略アイテム10」を使いこなして、本文にマーク・線引きすることを目標としてください。そのうえで、問題の解き方をマスターしていくことになりますが、『新ゴロゴ現代文〈基礎~必修編〉〈共通テスト編〉』では、ここで紹介した4つ以外の解法公式についても、例題を交えて徹底的に解説していますので、何周もして使いこなせるようにしてください。

次回からは、現代文の攻略において必要なもう一つの要素である「語彙力」について説明していきたいと思います。

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第111回 入試現代文の解法・⑬「とは」で定義された内容を答案に活かす  

 

前回は、「Aとは~構文」と「AではなくB構文」という2つの解法公式の組み合わせで解く、センター試験の問題を紹介しました。1つの解答公式だけで答えが決まるということは稀ですので、複数の公式を適用するという意識をつねにもってください。

さて、今回は「Aとは~構文」を活かして答案を作成する記述問題を取り上げます。定義の表現は当然、記述問題でも解答の要素となりますので、キーワードとともに、定義の内容を答案に盛り込むようにしてください。

 

〈例題〉

河川の経験は、流れる水と水のさまざまな様態の体験である。と同時に、ア身体的移動のなかでの風景体験である。河川の整備と河川を活かした都市の再構築ということであれば、流れる水の知覚とそこを移動する身体に出現する風景の多様な経験を可能にするような整備が必要だということである。

(中略)

河川の体験とは、河川空間での自己の身体意識である。風景とはじつはそれぞれの身体に出現する空間の表情にほかならないからである。風景の意味はひとそれぞれに異なっていている。河川の空間が豊かな空間であるということは、何かが豊かに造られているから豊かだ、というわけではない。とりわけて何もつくられていなくても、たとえば、ただ川に沿って道があり、川辺には草が生えていて、水鳥が遊び、魚が跳ねる、ということであっても、そのような風景の知覚がひとそれぞれに多様な経験を与える。体験の多様性の可能性が空間の豊かさである。

 

問 「身体的移動のなかでの風景体験」(傍線部ア)とはどういうことか、説明せよ。(60字程度)

 

(中略)の後で、「河川の体験とは」「風景とは」と2つの言葉が定義されていることに注目しましょう。特に前者は、傍線部アの主語が「河川の経験」であり、傍線部中にも「体験」とあるので、絶対に見落とせません。

また、後者については、筆者が「風景」という言葉に独自の意味を込めていることに注目する必要があります。ふつう「風景」と言えば、見て楽しむだけのものです。しかし、筆者はそのように受け身的には捉えていません。河川に沿って歩き、水鳥や魚と戯れる。そのようにして身体で感じるものを「風景」と呼んでいるのです。

こうした「風景」の捉え方は、「河川の体験とは、河川空間での自己の身体意識である」という定義にも関係していますね。河川の体験とは、まさに身体で体験するものであり、それゆえ、意識は自己の身体へと向かっていきます。

 

〈解答例〉

河川に沿って歩き、さまざまな空間の表情を感じ取りながら、それを知覚している自己の移動する身体もまた意識されるということ。

 

2つの言葉の定義が答案に活かされていることを確認してください。

次回は、ここまで見てきた「攻略アイテム10」を、解法公式という形で整理したいと思います。

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